研修生の募集
日本鍼灸は江戸時代以降『霊枢』九鍼十二原篇にある「蚊虻の止まるが如く(カやアブが止まるような)」の「微鍼法」の研究を通じて、浅い部位で軽い施術をする日本的な鍼灸術を発展させました。昭和期以降は虚実・補瀉といった古典理論の学習を伴った「経絡治療」として受け継がれ、今日に至っています。
微鍼法は長年の研究の結果、鍼灸院で扱う多くの病症に対応できるものとなっています。また主に接触鍼で行うため、医療事故とは無縁であり、施術者は安心して行うことができます。当院の「横浜微鍼塾」では、限られた時間内でこの微鍼法の理論と技術を学ぶことができます。九鍼十二原篇の冒頭には「微鍼法を後世に伝えるため、その方法を明らかにする」との決意が書かれています。これは日本鍼灸の原点であり、当塾の方針でもあります。
鍼灸の国家試験には受かったけれど、家庭のこともありフルタイムの勤務はできない。生活を支えるための仕事は続けなければいけないが、将来の鍼灸院開業に向け、経営のノウハウも身につけながら、手応えのある準備をすすめて行きたい。確かな技術で患者さんを治療できるよう、きちんとした指導を与えて育ててもらいたい!そんな希望を持つ鍼灸師の皆様へお薦めします。
<基本条件>
・2年制で毎週一日当院にて研修。研修日は終日職員の一員として院内の仕事に従事します。(時間は相談に応じます。主婦の方は半日でも結構です。)2日以上または2年以上望む方は別途相談。
月2回院内の勉強会(第一・第三 水曜日午前中3時間)に出席することを条件としています。その他詳しくはお問い合わせ下さい。
・1年目14万円、2年目以降7万円の研修費が掛かります。
・『黄帝内経』の「微鍼法」に基づく、当院の鍼灸技術を研修する事ができます。
・基礎学術は『漢方鍼医 基礎講座 第3版』より。院長が漢方鍼医会会長時代に編集長を務めてまとめた本です。『霊枢』に基づき、微鍼法の総合的な診察法と手技を教授します。
・実践篇として『微鍼塾 病症マニュアル1』より。現在編集中で、今春から講義開始します。微鍼法により各病症を扱う際の診断と施術の詳細をお話しします。
・希望者は面接を兼ねて見学をすることができます。詳細はお問い合わせ下さい。
〒231-0031 横浜市中区万代町2-4-1-307
045-664-6387
izumido12(@)yahoo.co.jp
院長 隅田真徳
(2025/02/07)
・『漢方鍼医 基礎講座 第3版』
・『微鍼塾 病症マニュアル1』
・序文
日本の古典鍼灸界には、病症別の臨床論などを書いて教えるべきではない、という意見があります。理由を尋ねると「鍼灸の本道は本治法であり、五輸穴で脈を整えれば、あらゆる病に対応できる。入門者に細かなノウハウなど教えたら、大成できなくなる」等のご意見を頂くこともありました。これはこれで、理解できないことではありません。しかし先日、鍼灸学校の教科書を読む機会があり、考えが変わりました。
いくつか教科書の問題をあげます。まず一つ目は、教科書で用いられている中医弁証は、鍼灸の臨床ではさほど有意なものではない、ということです。中医基礎理論は、文革後の1980年代に中医学院での教科書作成用に整えられたものです。その際、薬方の理論をそのまま鍼灸に持ちこんだものであり、鍼灸の臨床から生まれたわけではありません。中医弁証は病位や邪の種類を細かく分類し、突き止めようとします。これは薬方の立場からすれば当然のことですが、鍼灸の立場ではやや的外れに感じます。
鍼灸の診察は、既に病位の概念を含む臓腑経絡の虚実を診察していますす。また鍼治療は、鍼尖に気血を集めることで邪は自然と排出される、という立場ですから、邪の種類は薬方ほどには施術とリンクしません。つまり時間をかけて中医弁証を学んでも、結局臨床では、蔵象論と脈診・腹診など伝統的な鍼灸の診察法に頼ることになります。
二つ目の問題は、中国語の新しい中医学用語をそのまま使っていることです。中医学は病理解説が詳しく、そうした点を学ぶことは有益です。しかし教科書で使われている新しい中医学用語は、中医大学の研究室で生み出されるものです。学者とは、自らの価値を高めるためには、次々と新しいことを提唱する必要がある仕事です。彼らが生み出す用語を追いかけ続けても、終わりのない鬼ごっこになるはずです。教科書執筆者は中国語の原文を咀嚼し、平易な日本語で書き下ろすべきですが、そうはしない怠慢さを感じます。今の教科書では、現場の教員と学生は大いに困惑するのではないでしょうか。
三つ目は、鍼灸師が心得ておくべき、臨床上の注意点の記述が薄いことです。特に適切な深浅に関して触れられていません。これでは新人鍼灸師は、失敗の山を築くことにならないでしょうか。鍼の深浅は、成功と失敗を分ける鍼灸術の要であり、『黄帝内経』では『霊枢』根結篇・逆順肥痩篇などで、その基準が繰り返し記述されています。基本的な事項をしっかり教えてから臨床に送り出せたら良いな、と思います。
私自身は1983年に東洋鍼灸専門学校に入学し、経絡治療の創始者の一人である、小野文恵先生が担当する臨床各論を受講しました。素朴な虚実と補瀉の鍼灸理論を柱に、臓腑経絡の生理病理を交えながら各病症の治療を説明するものでした。最後は実際に施術してみせる、という流れでしたから、鍼灸治療の実際を充分に感じられるものでした。
また1989年から3年間上海中医学院に留学しました。指導に当たって頂いたベテランの中医師達も、蔵象論と経絡の知識のみを用いて臨床に当たっており、彼らが複雑な中医学で弁証していた記憶はありません。
新人鍼灸師に必要なのは、簡潔な鍼灸理論に基づいた、具体的な病症マニュアルであろうかと思います。その上での本治法の学習ではないか、と思い至り、本書を記述することにしました。
編集においては、法的な問題が生じないよう、経筋のイラストなどプロに作成を依頼しました。スタッフと研修生の皆様にも、モデル撮影や校正などで、ご協力頂いたことに感謝します。
勿論、ここに書かれている事が鍼灸術の全てではないし、最善でもないかもしれません。しかし昭和の末期以来40年間にわたって勉強と臨床に励んできた、1人の鍼灸師の現在地点であることは間違いありません。これから「微鍼法」を用いて鍼灸院を開業する先生方にとって、本書がより良い出発点となることを願っています。
令和7年2月末日
横浜微鍼塾 代表 隅田真徳
・目次
―第1章 腰と下肢の疾患― 8
1.腰痛 8
(1)急性腰痛 8
(2)慢性腰痛 14
(3)腰が曲がる 22
2.下肢の痛み 23
(1)坐骨神経痛 23
(2)間欠性跛行 25
3.膝の痛み 28
(1)足陽明胃経の痛み 28
(2)足厥陰肝経・足太陰脾経の痛み 30
(3)少陽胆経の痛み 30
(4)太陽膀胱経の痛み 32
(5)正座ができない 32
4.足首の痛み 34
5.足底の痛み 36
(1)かかとの痛み 36
(2)中足骨の痛み 37
(3)足底・足趾のしびれ 38
(4)タコ・魚の目 39
―第2章 首と上肢の疾患― 41
1.首と背中の痛み 41
(1)太陽経の痛み 41
(2)少陽経の痛み 42
(3)陽明経の痛み 42
(4)刺入鍼 42
(5)頚肩腕症候群 43
2.肩の痛み 48
(1)五十肩 48
(2)腱板損傷 49
3.肘の痛み 51
(1)肘関節外側 51
(2)肘関節内側 53
4.手と手指の痛み 55
(1)母指側の痛み 55
(2)小指側の痛み 56
(3)ばね指(弾発指) 58
(4)手指関節の腫れと痛み 60
5.女性達の首と上肢の痛み 62
―第3章 顔面と頭部の疾患― 66
1.神経麻痺 66
(1)顔面神経麻痺 66
(2)外転神経麻痺 70
2.神経痛 72
3.頭痛 76
4.めまい 79
(1)回転性めまい 80
(2)ふらつき 82
5.脱毛症 88
―第4章 五官器の疾患― 91
1. 眼の疾患 91
(1)疲れ目 91
(2)飛蚊症 92
(3)仮性近視 92
(4)涙目 94
(5)網膜色素変性 95
(6)緑内障 96
(7)黄斑膜症 96
2.鼻の疾患 98
(1)鼻炎 98
(2)副鼻腔炎 99
(3)嗅覚障害 101
3.口の疾患 102
(1)口内炎 102
(2)味覚障害 103
(3)歯ぎしり・食いしばり 106
(4)唇の荒れ 108
(5)舌の痛み 110
(6)顎関節症 112
4、耳の疾患 115
(1)耳鳴り・難聴 115
付録 121
1.用語説明 121
(1)虚体・実体 121
(2)虚実を診て補瀉をする 122
(3)補瀉法 123
2.経筋図 126
(1)足太陽膀胱経筋 127
(2)足少陽胆経筋 129
(3)足陽明胃経筋 131
(4)手太陽小腸経筋 133
(5)手少陽三焦経筋 135
(6)手陽明大腸経筋 136
(7)足太陰脾経筋 138
(8)足少陰腎経筋 139
(9)足厥陰肝経筋 141
(10)手太陰肺経筋 142
(11)手少陰心経筋 143
(12)手厥陰心包経筋 144
参考資料 145
微鍼塾 病症マニュアル 1 147
研修生体験記:林 弥生 先生(50代女性:2年間)
私は鍼灸学校3年のときにがんになり手術と抗がん剤の治療を受けました。そのつらい体験から鍼を刺すこと刺されることを深く考えるようになりました。そんなときに泉堂はり灸院では接触鍼で患者に苦痛のない治療をされていると知り研修生となりました。
最初の見学時に院長の治療を実際に体験しました。とても暖かく優しい治療に感動し自分もこの技術を習得したいと思いました。抗がん剤で脱毛しウイッグをつけ見学に行った私に「そんなに悪いようには見えない。」と何気なくおっしゃってくれた一言は、2カ所の治療院で断られていた私にとって今でもとてもありがたく覚えています。
まず1ヶ月間は副院長よりマンツーマンで鍼灸治療の指導をうけ、その後技術評価をしていただき、院長の許可を得てから実際の治療に関わることができます。他にも初診対応・治療準備・環境整備や電話対応・予約の取り方等教えていただきました。わからないことはすぐに質問でき教えていただける環境はとても良かったです。脈診・接触鍼・刺絡・奇経治療・子午治療等も学ぶことができました。
月2回院内勉強会では、難しいと思っていた古典を身近に感じることができました。また脈診を確認しながらお互いに治療をすることはとても勉強になりました。「季節の治療」は私たち人間は自然の中で生きていると理解でき、また「神を守り治療する」ということは、これからもずっと基本としていこうと思います。
院長から一度だけ叱られたことがあります。「私には頑張っても院長のようには治療できない、なぜなら手が違う」とお伝えしたときです。「自分でゴールを決めてしまってはそこから先に進まず終わってしまう。」と言われました。それからは院長の治療を一生懸命見て覚え真似をし、自分を信じ取り組みました。患者さんに良い変化がみられ、院長から「良いです」と言われたときはとてもうれしかったです。
隅田院長、いつも貴重な知識や経験を惜しみなくご指導いただきありがとうございました。いつも気にかけてくれた平井副院長はじめスタッフの皆様にも心より感謝申し上げます。
私はこの度、研修期間終了とともに鍼灸院を開業いたします。泉堂で学んだこと・ご指導いただいたことを忘れずに頑張っていきます。ありがとうございました。
女性専用鍼灸院 マハロ 菊名駅徒歩3分 https://www.kikuna-mahalo.com/
2022年11月5日
感想文:杉浦先生(40代女性:4年間)
2年目の研修が終わる頃に、もう一期研修をしたいと申し出て、私は4年間研修をさせていただきました。それは泉堂で学べる治療法が、自分が希望するものと合致したということもありますが、素直に「もっとここで学びたい」と思ったからです。
学校で基本的なことはひととおり教わっても、臨床でお会いする患者さんは症状も多岐にわたります。自身の不足を思い知らされることの連続でした。卒後にこそ勉強せざるを得ません。
院長先生はじめスタッフの方々からは鍼や灸の技術はもちろん、日々の業務を通して、患者さんにいかに快適に治療を受けていただくか、いかに安心していただけるかなどの細かな気配りや対応の仕方、言葉の選び方など配慮についても多くのことを教えていただきました。
治療は「氣」を扱う鍼を基本として、その手法を学びました。
東洋医学では氣は生命の根源であり、氣あればこそ体は動くと考えるのですが、肉体労働より頭脳労働の増えた現代には精神的な不調・疾患が増加しています。そのような症状にも、氣を整える鍼治療が効果をもたらす様子を何例も目にしました。
また長年苦しんでこられた難治性疾患の患者さんが、痛みが軽減して喜ばれ、前向きに活動されてゆく姿を目の当たりにしたことは、鍼灸治療の可能性・素晴らしさを再認識することでもありました。
泉堂は来院される患者さんも多く、一日のうちにも幅広い年齢層の様々な治療を目にすることもあります。出来得るならばもっと時間を割いて鍼灸を学びたいと思っても、都合がつけられない者にとっては、本当に勉強になる研修でした。このような制度を設けていただいたことに感謝しております。
そして鍼灸の古典はもとより時には鍼灸以外にも視野を広げ、患者さんのために良いものは取り入れようとされる院長先生には、治療家の手本としてその姿勢も学ばせていただきました。
研修を終え、おかげさまで自分でも患者さんを診断・治療してゆけるまでのことを身に付けさせていただきました。今後も精進してゆきたいと思います。
ありがとうございました。
2020/05/08
感想文:佐藤先生(30代女性:2年間)
泉堂で週1回2年間研修をしました。
1年間、泉堂で研修をさせていただいて、最も大きな経験となったのは、
様々な患者様、症例に触れる機会が得られたことだと思っています。
泉堂に来院されている患者様の症状は様々で、
不妊に悩まれている女性・男性、生理痛、産後の体調不良、
アトピー性皮膚炎、うつ症状、頭痛、胃腸症状、
難病と言われている病の疼痛緩和、
腰痛、膝痛、五十肩、坐骨神経痛などの運動器系の疾患、
そして健康増進まで、多岐に渡ります。
年齢層も、お子様からご高齢の方までいらっしゃるので、
様々な患者様の生の声を聞かせていただき、施術をさせていただくことが出来、
これは私にとってたいへん貴重な経験となりました。
これから鍼灸師として、自分なりの、目指している分野がありますが、
そこへ向かって行く第一歩として、限られた分野の疾患・症例だけでなく、
様々な患者様と触れ合うことができたことは、
私のこれからの鍼灸師人生に於いて、大きな意味を持つことと自負して止みません。
前任者の退職に伴い職員を募集致します。
当院は平成5年開業以来29年間、脈診流の「漢方鍼治療」を中心とした鍼灸治療を行っている鍼灸専門の治療院です。患者さんの99%は自費による鍼灸治療で、マッサージの業務は一切ありません。
鍼灸学校などでは「鍼灸のみでの開業は無謀。暮らしていくこともできない。」等といった言い方がなされているとも聞きますがそんなことはありません。
鍼灸はこの日本で1300年以上の歴史を持つ立派な医療技術であり、その臨床的価値は21世紀になっても全く失うことはなく、むしろ益々その評価を高めています。要は価値のある技術を直接学び、我がものにすることです。ぜひ当院での臨床の日々のなかで技術と経験を学び取って下さい。さらに職員として治療院経営の実際を体験することができますので、将来鍼灸専門での独立開業を目指す方に最適です。又当院は漢方薬店を併設しておりますので、将来薬店併設をご希望の方にも有利です。
<募集要項>
院長隅田は昭和58年東洋鍼灸専門学校入学以来鍼灸一筋39年。今後もこのまままっすぐ歩いていくつもりです。現在「漢方鍼医会」理事。初心者歓迎、一から丁寧に指導します。3年以上継続できる、きれい好きで明るい方を募集します。
週休2日(水・日)、夏期・年末年始等休み、交通費支給有り。
院内研修会月2回、一回約3時間。
月一回「漢方鍼医会」例会に参加してそれぞれのレベルで研修します。(年会費5万円は自費。)
募集条件は以下の通りです。履歴書を添えて郵送、乃至はメールにてお申し込み下さい。
時間:AM 8:00~13:00 (土曜日のみ17:30迄)
時給1150円の積算+交通費
<応募方法>
まずは書類審査、次いで面接、インターン経験の順で審査を行います。(まずは一度見学したいというご希望にも添います。)
奮ってご応募下さい。
〒231-0031 横浜市中区万代町2-4-1-307
045-664-6387
izumido12(@)yahoo.co.jp
