胃腸炎
胃腸が悪くて鍼灸の治療を受ける方はたくさんいます。
近代以前、鍼灸と漢方薬は医術の二本柱でしたが、胃の悪いときに薬は飲みたくないという方は意外と多いものです。鍼灸治療には古来より日本人の胃腸症状改善の為の知恵が色々伝わっています。
胃腸炎について
一番多いのは胃がムカムカしたり痛みが出る。或いは胃腸科で投薬を受けたり自分で売薬を買って試しているが、はかばかしくない。特に疲労やストレスがあると悪化する、といった訴えです。急性の場合は「急性胃炎」慢性の場合は「慢性胃炎」と診断されます。
また胃の症状の他に胸焼けや呑酸(酸っぱい水が上がって来る)を訴える「逆流性食道炎」も東洋医学的には胃の問題と捉えています。以前はバリウム(造影剤)を飲んでのエックス線の検査が主流でしたが、ここ十年ほどで胃の内視鏡検査の技術が大変進歩した結果、胃が悪いといきなり「胃カメラで診てみましょう」という時代になってきました。
胃は健康な状態であればピンク色をしていますが、慢性的な炎症により色がくすんで胃壁が薄くなっていれば「萎縮性胃炎」、明らかな潰瘍があれば「胃潰瘍」、「十二指腸潰瘍」と診断されます。
又検査によりピロリ菌の存在が明らかであれば胃炎の原因として抗生物質で除去するよう勧められる場合もあります。
病院での胃腸病治療は一般的には投薬が中心です。ガスターなどの胃酸の分泌を抑制する薬、マーロックスなどの胃酸を中和する薬、ガスモチンなどの胃の運動を活発にする薬などが処方されます。しかしこうした薬は皆症状を抑えるだけで根本的な問題解決するものではありませんし、薬というものは最初は効いても段々と効果が薄れていくものです。
そういう方が「では鍼灸はどうだろうか」ということで来院され、思いがけず良い効果を上げて喜ばれるものなのです。
泉堂鍼灸院の胃腸炎治療
先ず漢方鍼治療で脈を整えます。脈が和緩を帯びた艶のある脈状になっていくと胃をコントロールしている自律神経の緊張が緩み、本来の胃酸や消化液の生成と分泌が適正に行われる様促されていきます。胃のツボはお腹にもありますが、むしろ背中のツボの方を良く使います。
胃の悪い方の多くが「胃も悪いが背中も痛い」と仰るのは胃の裏側の過緊張によるものです。また胃の経絡(気の流れ道)は胃から出て足先へ向かって流れていきます。その関係で足にも胃腸によいツボはいくつもあります。そうしたツボの中から今最も反応の出ているツボを使っていきます。
また昔から「胃が安らかでない人は眠りも安らかでない」という言葉があります。胃が悪い人は、夜食べた物がいつもでも胃に残っているので安眠を得るのが難しいのです。胃が悪いので眠りが浅くなり、眠りが浅いので胃腸の調子が悪くなるという負の連鎖の中で疲れている人は多いものです。ですから胃腸障害の鍼灸治療においても「深く眠れるようにする」ということも大事なポイントで、その為の安眠のツボも併用していきます。
胃腸炎の養生について
食生活の改善
胃にとって効果的な養生は食生活の改善です。中でもチョコレートとコーヒーをやめるとてきめんに効果が上がる人がいます。ある著明な胃腸科のドクターで「胃の悪い人は先ずチョコレートとコーヒーをやめなさい」と力説する方がいます。それぐらい効果的なのです。この2つの食品には本来日本には自生せず、地球の反対側の南方で収穫される豆(カカオ豆、コーヒー豆)から作られる、という共通項があります。豆には皆独特の油分がありますが、これら南方の豆の油分は重く日本人の多くは消化吸収する為の酵素を持っていないというのです。その為その味や香りの良さに惹かれて嗜好品として嗜むうちに、胃腸障害がひどくなっていく方がいるようです。(ちなみに大豆のような古来日本人が食してきた豆類にはそうした問題は無く、胃腸障害の原因にはなりません。)
生ものや油もの、冷たい飲み物や南国のフルーツの食べ過ぎに注意する事も大切です。全員に必ず悪いわけではありません。人はそれぞれの体質の傾向がありますので、食べてみた後の体調の変化に注目し、自分にとって「何が良くないか」を把握して養生に生かすことが大切です。
体を冷やすものであっても、どうしても食べたい物もあります。そういうものは朝や昼間食べる場合は害が少ないといわれています。昼間は活動があり体も温まっているので、さほど悪いわけではないようです。一番良くないのは寝る前に胃腸を冷やす食物を食べることです。人は就寝中は活動がないので体温も下がっています。胃腸の悪い人が冷たい食物を胃に入れて寝てしまうと朝までじっくりと胃腸が冷やされて、睡眠も浅くなり、すっかり体の調子が悪くなってしまうというわけです。お気を付け下さい。
胃腸虚弱について
体質として胃腸虚弱、という問題があります。小さな頃から胃が弱く、すぐに吐いたり下してしまったり、という問題から始まって、成人後もストレスを受けると胃が痛む、むかつく、重くなる。そしてけして太ることはなく、むしろ調子が悪くなると直ぐに痩せてします。
痩せると一段と体が辛くなる。こうした問題を持っている人は多いのです。特に日本人は正座をする文化、湿気の多い気候などと条件の為か生来胃弱という方は多い。
しかしほとんどの方は病院では造影剤検査でも、内視鏡検査でも異常はなく、「病気ではない」と診断されてしまいます。病気ではないので薬はない、治療はない、という訳です。画像で見える病的変化や血液検査の数値に現れる異常がないと病気ではない、という所に今の西洋医学の弱点が現れているように思います。
しかし東洋医学はそうではありません。胃腸障害の症状さえあれば、治療を進めていくことができます。当院ではこうした胃弱の問題にも積極的に取り組んでいますので、どうぞ相談下さい。
胃腸炎の施術を受けられた患者様の声
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