膝の痛み
痛みの疾患で腰痛に次いで多いのは膝の痛みです。
膝の痛みの原因は、膝関節を形成している「靱帯・筋肉・軟骨」といった軟部組織の炎症や骨の変形です。
膝の痛みの概要
比較的若い方は、軟部組織の炎症が原因として多くみられます。
特に若いスポーツ選手が、過度の練習で膝に負担をかけすぎて起きるのが「腸脛靱帯炎」です。腸脛靱帯は太ももの外側を股関節から膝関節の下の脛骨まで走っている長い靱帯です。走行する際に靱帯の一部が膝関節の外側をこすれる為、摩擦が生じて痛みが出ます。痛む部位は膝関節の外側で鍼灸のツボの名前で言えば「膝陽関穴」のあたりです。
膝関節は内側にも靱帯が走っています。
内側側副靱帯で大腿骨と脛骨を結んでいて比較的短いのですが、体重を支える上で大変重要な働きを持っています。その為、痛めやすい部位といえます。私自身長年臨床をしていて膝関節の痛みで最も多いのは、この内側側副靱帯による膝関節内側の痛みです。痛む部位は同靱帯が付着している大腿骨内面から脛骨内面に広く分布します。
膝関節内部や上部が痛む場合もあります。
内部には十字靭帯があり、上部に大腿四頭筋の付着部があり、そこで炎症が起きているからです。また老人性の病気として変形性膝関節症があります。加齢によって関節軟骨の変形が始まり、膝が痛んで水が溜まってきます。
病院ではいずれのタイプであっても、治療のほとんどは湿布と痛み止めの投薬治療です。関節に水が溜まっている場合は水を抜く場合もあります。水を抜けば一時的には腫れや痛みが引きますが、ほとんどの場合数週間で水が溜まり同じ状態になります。
何度か病院の治療を受けてみて症状の緩解の望みが持てない方が鍼灸の治療を求めて来院し、大きな成果を得る場合がしばしばあるのです。
西洋医学の病院では体をパーツに分けて診断するという考え方が頑固に残っています。
膝が痛ければ悪いのは膝である、と決めつけて膝だけを診察し、膝だけに膏薬を貼り、膝だけにマッサージや電気治療をかけます。腰が痛んでも、背中が重くても、足首が固くてもそれは膝の痛みと全く関係がない事として治療の対象にはしません。ましてや経絡理論により導き出された手首付近の異常には、全く触れることはありません。しかし体は全体として有機的に動いているのです。背中、腰から足先にかけての力の流れや手とのバランスの崩れを見逃しては良い治療になりません。
膝の痛みの治療方法
治療は先ず脈を整える「漢方鍼治療」を行います。
漢方鍼治療を行うと体全体の血液の循環が良くなると同時に、膝関節を構成している筋肉、靱帯などの各組織の新陳代謝が促され、炎症を起こしている部位に新鮮な血液が流れ込むことで損傷の修復が促されていきます。
膝の腫れている部位には、軽く鍼やお灸をして患部の炎症を引かせる様に施術します。さらに膝を走っている筋肉や靱帯の附着部となっている大腿や股関節回りにも施術をする必要があります。
人間は膝を曲げる際に、腰椎の1,2番付近から力が伝わる仕組みになっていますので腰部の緊張を取ることも大切です。また東洋医学の経絡理論から診断して使う、足の甲や手首のツボがしばしば奏功します。
痛む場所とは違うところを施術していると疑問に感じるかも知れませんが、膝の治療に効くツボは腰背部から足の甲まで広く分布しているのです。ご了解下さい。
膝は実は胃との関係がとても深い関節です。そもそも胃の悪い人は膝を痛めやすく、痛めると治りにくくなりがちです。そうした東洋医学の診断を踏まえて胃の治療と同時進行でやっていくと、相乗効果で胃と膝と双方によい効果が出ることは稀ではありません。
病院で治らないしつこい膝の痛みが鍼灸によって鮮やかに緩解するのは、こうした体の「捉え方」自体が西洋医学とは大きく違っているからなのです。
腸脛靱帯炎はほとんどの方が若い方ですから、原因となったスポーツを少し休みながら治療をすれば良い効果があります。
膝関節の内側が痛む場合も、腫れがあると無いに関わらず治療の対象で良い効果が期待できます。変形性膝関節症は変形の度合いや年齢を診て予後の診断をします。いずれにしても軽症で発病から日が浅いほど、治りやすく重症であれば治りにいと言えます。
重症かどうかの判断は自分で歩いて治療院へ来院できるかどうか、という事も目安になります。来られるようであれば治療による効果が期待できると考えます。あとは個人差がありますので、先ずは一度診察を受けてみてください。
泉堂鍼灸院のおすすめ養生方法
冷えの問題があります。「冷えは下から入ってくる」と言います。
冷え性の人はどうしても膝、腰と言った下半身が痛みやすくなります。足腰を冷やさないように気を配って防寒をすれば、膝の痛みは緩解し易くなります。
厚めの下着を履いたり、靴下にも気を配って下さい。冬であれば下から暖める暖房器具を使う事も大切です。エアコンではなくてファンヒーターや床暖房が良いですね。長く座る椅子であればそれ用の暖房器具や毛布で腰をくるんだりするなど、気を配って下さい。
膝関節は「胃」の経絡が通っている関係で胃との関連性が強い関節です。
暴飲暴食や胃を冷やす食物の摂取が続けば胃の痛みはなかなか治りません。胃を冷やす食物とは冷たい飲み物や生のサラダ、刺身、ヨーグルト、甘味の取りすぎなどです。病院でも太っている方には「節制して痩せないと膝の痛みが取れませんよ」と指導する事があります。それも正しいのですが、決して太っていることだけが問題ではありません。中肉中背であっても痩せている人であっても、胃が冷えている人は膝関節が冷えて血行が悪くなり、膝の痛みが取れにくくなるのです。
胃を冷やす食材を避け、暖める物を食べ、甘味を控えて、量も腹八分を心掛けるようにすれば膝の痛みも徐々に緩解していくものです。
腰回りや足首の硬い人も膝の痛みが長引きます。
ぜひ朝や寝る前にストレッチをして下半身の筋を伸ばすようにして下さい。
膝の痛みの施術を受けられた患者様の声
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