坐骨神経痛

・概要

坐骨神経痛とは下肢全体に伸びている坐骨神経に炎症が起きた結果、その分布域である腰の根本から足先にかけて電気が走るような痛みやぴりぴりとしたしびれが出てくる病気です。坐骨神経は末梢神経のなかで最も太く長い神経なので、悪化するとその辛さは大変なのものです。

坐骨神経痛の原因は様々で、「椎間板ヘルニア」や「脊柱管狭窄症」等の疾患が原因となっていることもありますが、原因が不明な場合も珍しくありません。

病院での治療は主に薬物療法です。非ステロイド性消炎鎮痛薬を主としてアセトアミノフェン、神経障害性疼痛治療等が鎮痛の目的で使われます。比較的軽症の坐骨神経痛ではそうした薬物療法が功を奏することもありますが、ある程度以上進行していると薬物療法はさほどの効き目を現しません。以前は重症の坐骨神経痛には手術が行われていましたが、長期的に見るとさほどの効果が認められないという研究報告が続いてからは、手術をしない保存療法を基本とする医師が増えています。

鍼灸は日本でも古来より坐骨神経痛を得意疾患としてきましたので、今でも多くの方が治療に訪れます。(以前秋田県角館の武家屋敷を見学した時に医者の家があり、展示品の中に長い坐骨神経治療用の鍼を見たことがあります。)

 ・治療

 治療は先ず体全体を診ることが大切です。脈診などの東洋医学的診断で鍼を施すべき場所を確認しながら治療を進めていきます。坐骨神経痛のような下半身の病気は冷えが原因となっている事が多いのです、冷えは足元から入るものですから足先のツボを使う事はとても大切です。一方で神経痛の原因はヘルニアや狭窄症など腰部で発生していますから、腰を診ることも大切です。しかし足の痛みはしばしば手のツボを使う事で劇的な効果を現しますので、手のツボもよく調べます。

 治療が進むと最初冷たかった手先足先が暖かくなってきます。また夜の睡眠が深くなってきます。これらは良いサインです。冷えが解消すると同時に自律神経の働きが良くなってきているのです。こうした慢性病では痛みの治療だけやっていても痛みは本当には取れないものです。全身の健康を促進することで体を修復する自律神経系統の働きを正常化することで治癒は促進されていくものです。

・養生

坐骨神経痛の養生のポイントは、足腰を冷やさないことです。下半身の病気の多くは冷えが原因と考えています。足が冷えないよう室内でも靴下を履き、厚手のズボンや暖かい下着を着用するよう気をつけて下さい。足湯や半身浴もしばしば良い効果があります。

しかしカイロや電気器具で暖めようとするのは慎重にして下さい。もしも汗をかいてしまうと、その場所は却って冷えることになるからです。「きっと痛みに良いはず」と信じてカイロを張り続けて、却って痛みが長引いている人は多いと感じています。カイロや電気器具を使う事で「本当に痛みは軽減しているか?」をよく観察しながら養生してみて下さい。

患部に負担をかけない事も大切です。負担が掛かると炎症は余計治りにくくなります。できるだけ重いものを持たない。安静を保つ。太りすぎている人は減量を心掛ける。等は基本的な心得といえそうです。