漢方鍼医会7月例会・六気の治療・2振り返り

今月は神岡孝弘先生による先月の鈴木先生による「六気の治療・2」の振り返りがありました。

神岡先生の振り返りはいつもきちんと整理されていながらも正確で必要な情報がきちんと入っているのでありがたいです。「ふーむそういう意味のことを言っていたのか!」と改めて納得することもしばしばです。

六気の治療の肝の一つは素問霊枢などの原典初編にあるように「前の季節の過ごし方が悪いと次の季節に体調が悪くなる」というものです。これは言葉を換えて言えば多くの病症は次の季節に持ちすごしがちだと言うことでもあります。

ある人は今の季節、調子が悪いので鍼灸の治療に来ています。それが治りきらないうちに次の季節が来てしまいます。その場合治療がうまくいっているのであれば治療をすぐに代える必要はありません。脈状が良ければしばらくは前の季節の治療で大丈夫。そういう経験をよくしています。

風邪、ぎっくり腰、肩首の痛み、アレルギー 耳鳴り難聴、胃腸の不調などに多いように思います。

 

漢方鍼医会6月例会「六気の治療・2」

 

六月例会は漢方包徳会の鈴木福三郎先生をお呼びして「六気の治療・2」を講義して頂きました。

まずは素問熱論篇との関連からでした。各気の熱病は各気の旺相死囚休の死の位置が治療の要になるとのお話しでした。死の位置は今まであまり治療には使わないというお話しでしたので新鮮でした。

後半は治験に続いて質問タイムです。鈴木先生は臨床の名手ではありますが、講義はやや固い印象があります。でも質疑応答となるととても生き生きしてわかりやすく話してくれます。会場ももり上がって質問がドンドン出てきます。多くの会がこの問題に関心を持って取り組んでいることが伝わってきました。

朝の医事寸言でもお話ししたのですが、そもそも60年、1年、1日、といったタイムラインを設定してそのなかでの五行の盛衰を五臓六腑の反映させた上で病態を観察し、鍼灸処方を組み立てることは古来より鍼灸治療の主流でした。そのことは素問霊枢難経などの原典、中世以降のおおくの鍼灸古典の記述からうかがい知れることです。

しかし現在においては中国大陸においても日本の古典鍼灸諸派においてもそうした治療は途絶えてしまっています。今回鈴木先生との偶然の出会いと熱心な講義を契機として本会がこの子午流注針法の世界に足を踏む入れるのは大変意義深いことであり、本会に今までの歩みが決して間違っていなかったことの証左であろうと思います。

漢方鍼医会5月例会 研修部での講義

漢方鍼医会5月例会がありました。

今月は研修部で「心と心包の治療の実際」を講義をしました。

3年ほど前にテキストの該当する章を書きましたので、当時のことを思い出しながら楽に話すことができました。

テキストに心虚証の治療に実例として出てくるペットロスの犬を無くして悲しむ20代の女性OLは実は50代後半の管理職クラスの女性であり死んだのはセキセイインコのピーちゃんであるという話をしました。

他の人から見ると小さな事でも本人とっては大きな事。そういうことはよくあることです。

私たちは誰でもが小さなモノに大きなモノを投影しているのです。一方的な見方で物事を過小評価してはならない。カウンセリングの基本は「こんな事で?」と思わないこと。という話などすると受講生一同神妙に聞いてくれました。

心心包の治療は上焦に溜まる熱を強力に押し下げて熱邪から体を解放するとても臨床的に有意な治療です。

本会では長くタブーとされてきましたが、ここ数年で発表が相次ぎ今では多くの会員の自家薬籠中のものとなっています。

 

 

漢方鍼医会 4月例会

 

漢方鍼医会の例会がありました。

4月は総会ですので、会長副会長三役が並んで進行を見守りました。

学術部は今年から巻田先生が加わってくれますので大変心強いです。

午後は四国の池田政一先生をお呼びして「臓腑経絡から見た薬方と鍼灸」の第2回目の講義を伺いました。

やや長めのオープニングトークのあと麻黄湯、桂枝湯といった基本方剤から傷寒論の寒熱伝変論に従っての正調日本漢方の講義でした。

質問の時間には慢性頭痛に用いる呉茱萸湯と当帰四逆加呉茱萸生姜湯の用法に関して解説を頂きました。呉茱萸湯は肝虚陽虚、当帰は脾虚陽虚とのことで呉茱萸湯が胃に重ければ当帰・・を用いよとのことでした。

また良く話題になる漢方薬の副作用に関してですが、麻黄のエフェドリンが持つ交感神経刺激効果は、麻黄が急性期のみに使う薬剤であるからあまり問題にならない。

甘草の偽アルドステロン症に関しては普通は2.3グラム程度の用量なので副作用量に達しにくいものであるし、何よりも漢方薬は「証」が大切であり、正しい見立てのもとに処方を選択すれば大きな問題は起きにくい、というお答えでした。

閉会後は付近の居酒屋で懇親会が行われ、3時間ほど宴に参加して帰宅しました。また新しい年度が始まります!

夏期学術研修会

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8月24.25日二日間に亘って漢方鍼医会の夏期学術研修会・滋賀大会が滋賀県のロイヤルオークホテルで行われました。

今大会の主題は「漢方鍼治療の新たなる創造」副題は「脈状診~その臨床的意義2」です。

ちょっと長いのですが、より良い治療を求めて常に前進、変化を続ける本会の姿勢を示しています。

全国から120名を越える同志が集まり講義を受け、技術交流をし、シンポジウムを行いました。

以前は東京の本部例会へ来ていた地方の先生方とも久しぶりに再会できる楽しみもあります。

夜は鳴り物入りの懇親会があり、その後は夜が更けるまで飲み会です。

今回私は開会式の学術部挨拶以外はさほどの出番はなく、研究部講師として実技交流の司会をこなしました。

研究部はベテランばかりなので教えるというよりも自分も他の先生のやり方を見て得ることの多い時間です。

関西の先生は総じて衛気営気の手法に対するこだわりが強く、細かいところまで気を遣っているのが印象的でした。

シンポジウムではやはり一年を六気に分けた上での時邪に対する治療が発表されていました。

外来講義は10月なのに既に少しづつ広まっているようです。

会場の関心も高く次々と質問が飛んでいました。

 

 

 

7月例会

漢方鍼医会7月例会が中野サンプラザで行われました。

研究部は第1席「継続講義:難経脈論」天野先生。第2席「脳性まひの鍼灸治療」荒川先生。でした。

脳性まひは6才女子でした。出産時の何らかの障害に起因すると思われようですが、はっきりとした原因の究明は無かったようです。

症状は精神発達遅延(7ヶ月レベル)、運動機能障害(自立歩行不能)、姿勢維持困難(座位維持装置使用)、体が弱く、てんかん発作があり、睡眠障害、食事、排泄にも介助が必要で、親御さんのご苦労は如何ばかりかと察せられる状態です。

治療は主に小児鍼を用い、さらにそのやり方を母親にも教え、家でやってもらったようです。

治療後髪の毛が立っていたのがおさまり、寝入りがスムーズになったそうです。おむつも濡れていないときが徐々に出てきて、溜めることができる様になってきたとのことです。

7ヶ月ほどの治療で体調も徐々に良くなり、風邪を引きにくくなり、ショートステイができるようになったので、母親は外で仕事ができるようになったようです。

さらに発達テストでも1才レベルとの診断が出て、ST(言語聴覚療法)が受けられるようになったそうです。

結語として「睡眠が安定したことで睡眠導入剤をやめることが出るようになり、脳の働きを押さえつけるものがなくなり、結果として以前より知能が伸びた」とのことです。比較的短期の治療で思った以上の効果があり、本人とご家族のQOLが向上したようです。

 

6月例会

 

東京で漢方鍼医会例会に出席しました。

研究部は前半は「難経十三難の臨床応用」の講義、後半は「六気と外からの邪」。

季節の変化を鍼灸治療に反映させることに皆で取り組んでいます。

研究が進んできたことを感じています。

鍼灸祭り

お茶の水 湯島聖堂で行われた「鍼灸祭り」に会の役員として参加してきました。

年に一回鍼灸関係の諸団体が協賛して行われています。

目的は

1.鍼灸を創世した先達への祭礼

2.鍼と艾への感謝

3.鍼灸の啓蒙普及

4.各学派・流派の学術講演

5.親睦会

 

祭礼の後には講演があり、その後の親睦会ではお酒も振る舞われました。

講演では茨城大学の真柳誠氏が素問の版本について語っていました。古典の中には当時の役人がリベートを取って皆で分けたと言う記録まで載っているそうです。中国では古代から汚職が堂々と行われていたのですね。わざわざ記録に残す、というあっけらかんとした態度が驚きです。

真柳氏は東洋医学史の研究では得難い知識を公表して下さっている方です。そのホームページではかなりの数の研究結果を自由に読むことができます。

その多くは中国の文献から歴史上の名医達のエピソードを紹介し、歴史的な意義を再評価したものであり、また日本医学から中国医学発展への貢献、埋もれていた交流の歴史など大変貴重のものもあります。

興味のある方は是非一度ごらんになって下さい。本会でもいずれお呼びするべく、名刺を交換致しました。

http://mayanagi.hum.ibaraki.ac.jp/top.html

湯島聖堂、初めて行きましたが、都心なのに緑に包まれた立派な建物でした。

漢方鍼医会5月例会

中野サンプラザで漢方鍼医会5月例会がありました。

私は午前中入門講座でテキスト第1章「漢方医学の基本概念」を講義しました。

「陰陽論」「五行論」「三才」「剛柔論」「虚実と補瀉」「邪正論と精気神論」「気血津液論」「気の思想」・・

本来は膨大な内容を持つ主題ですが、医学的な側面と本会の中での使われ方に関して簡潔に説明しました。

難しい内容だったと思いますが、受講生一同最後まで熱心に聞き入ってくれました。

どれも簡単な話では無いのですが、僕にとっては「剛柔論」が一番説明が難しいように感じられます。

これは十二支、十干、五行、陰陽がすべて出てくる上にそれが組み合わさって出来ているのでほんとに複雑です。

一部他の先生にも助けて頂きました。

でもこの理論を用いた「剛柔選穴」はとても良く用いられら選穴ですし、良い効果をしばしば現す切れ味の良い治療です。

後々必ず出てきますので、出来るだけ丁寧にわかりやすく教えなければいけません。

例年は40人近い受講生が集まるのですが、今年度は30人足らずでした。少し募集の公告など工夫した方がよいのかもしれない・・・

等とも感じています。

 

4月例会

 

漢方鍼医会4月例会がありました。

2年に一度の役員改選があり、新井康弘会長の2選が決まり、私も副会長留任となりました。

新入門部は15名。新研究部員は13名と言うことで大会議室の席も満員に近く、ますますの会を発展を実感しました。

午後は池田政一先生による漢方薬の講義をして頂きました。これは「臓腑経絡から見た薬方と鍼灸:第2巻」に基づく鍼灸師向けの漢方薬の講義です。質問タイムでは風邪の時の葛根湯、麻黄湯、桂枝湯、麻黄附子細辛湯、の使い分けをお聞きしました。

わかりやすく、具体的にお答え頂きました。

本会は発足以来池田先生に顧問となって頂いて漢方理論への理解を深めてきました。

池田先生の特徴はお若いときに一流の漢方医について漢方薬局を開いて鍼灸院と併設したおられることです。

日本漢方が特徴としてきた「気血津液理論」を鍼灸治療の診断にも応用するべきであり、そうすることで内経、傷寒論の理論を反映した正しい古典鍼灸と言えるのだ。というものです。

長年の講義をさらに補足するものとして漢方薬の各方剤自体を解説する講義シリーズをお願いする事となりました。

薬事法の改正で鍼灸院でも漢方薬を置く所もぽつぽつ出てきています。

本会でも時代の波に取り残されることの無いよう、前進する心づもりです。