潰瘍性大腸炎の鍼灸治療

 

安倍首相が「画期的な新薬が出て体調が良くなった」というような発言をなさっていた時期があり、私もそのように理解していた時期もありましたが、そういう新薬はなく、既存の薬で彼の体調に適合するものが有った、ということのようです。もちろんそれでも良かったことには間違い有りませんが。

この病気の方は以前から時々鍼灸の治療を求めて来院されます。薬物療法だけでは緩解期を長く持続できない方もいます。または何らかのプラスアルファーの健康法を行うことで正常な社会生活を長く営みたいというご希望があります。

鍼灸では体全体の免疫を向上させることができます。食欲を増進し、睡眠を深くすること、それはこの病気にとって最も大切なことです。

そして下痢、下血、腹痛などにも各種のツボを駆使して対応していきます。それは必ずしもお腹や背中にあるとは限りません。

多くは足に、時には手のツボが大きな成果を上げることもあります。要は今日のその人に合ったツボを見つける事が大切です。

それは結構難しいことなのです。でも脈診、腹診といった伝統的な診断法を駆使することで始めてこうした治療が可能になります。

そしてお灸も大切です。

難病治療に他にはない大きな働きをするのがお灸です。

私は昔母がお灸の先生に治して頂いた事がありますので、難しい病気ではお灸も積極的に行います。

ご要望があればお家でもできるよう印を付け、施灸指導もいたしますので、ご遠慮なくお申し出下さい。

 

潰瘍性大腸炎

 

60代女性:潰瘍性大腸炎。最初に下血が始まって1年、今では腹痛も慢性のものとなっているようです。

腹痛と下血が止まらず三週間ほど入院なさっていたそうです。現在はステロイドなどの薬物投与で小康を得ています。

潰瘍性大腸炎は安倍首相が罹患していることで有名になりましたが、私か耳にするようになってからでも既に20年以上たっていると思います。

主には大腸の粘膜に潰瘍とびらんができる原因不明の疾患で、厚労省から特定疾患に特定されている難病です。

主な症状は慢性的な下痢と下血、腹痛です。さらに重症化すると発熱・体重減少・貧血等も伴ってきます。

多くの方は治りきることはなく、慢性化し寛解と悪化を繰り返します。

治療は「寛解維持療法」・・炎症が治まっている状態を維持する。「寛解導入療法」・・炎症が強くなり再燃・活動した状態から炎症を抑えていきます。

要はなるべく良い状態、楽な状態を長く持続できるよう促すと言うことのようです。

治療は主に薬物療法です。

サリチル酸製剤は緩解期、活動期共に使われます。

ステロイドは主に活動期において集中的に使用されますが最近では緩解期維持の目的でも使われることがあるようです。

その他免疫抑制剤なども使われています。

 

 

 

 

 

 

 

弾発指(ばね指)と鍼灸治療

60代女性:長年に渡る老母の介護のためか、両手の指の関節に痛みがあり、特に利き腕の右手第2,3,4指に弾発指があり、手の曲げ伸ばしも困難な状況です。

弾発指は手の指に起きる腱鞘炎の一種です。手の指を曲げたり伸ばしたりする際に抵抗がありばね仕掛けのように動く症状をいい、曲げ伸ばしの際、痛みを感じることがあります。

病院では、まずは局所の安静(使いすぎないよう申し渡されます)と消炎鎮痛剤の内服、湿布などの外用剤で経過を見ます。

症状が軽快しない場合は腱鞘内に直接ステロイド剤を注射します。

こうした保存的治療で改善が得られない場合は局所麻酔下による手術をおこない、炎症を起こしている腱鞘を切開します。

この方は病院で「手術をしても良いが、大抵はしばらくすると元に戻りますよ」と説明されたそうです。

病院では指が痛いと、指が悪いと診断して局所的な治療を繰り返します。

しかしこの病気の本当の原因は背中の緊張ですから背筋に施術して緊張を撮ることが欠かせません。

胸椎の3番~5番あたりの脊際の硬結に針先を当てて静かに患部が弛んでくるのを待ちます。

5分ほどの施術の後で指を曲げ伸ばししてもらって様子を尋ねると、「半分ぐらいは痛みが取れた」とのことです。

その後指関節にお灸をして治療終了となりました。

 

 

 

体の暖め方

100才のおばあちゃん:最近脈が速くなってきて、心臓が苦しそうなことがあるとのこと。

そういう時は足を触ってみて下さい、と言いつつ触ってみると案の定氷のように冷たくなっています。

漢方では人は老年期になるにつれ、体の下が乾いていき、足が冷えて胸に熱が溜まる、とされています。

胸に熱が溜まるので脈が速くなり心臓も苦しくなるわけです。

こういうときは足を暖めてあげると良いのです。

足が暖まると胸の熱が降りて爽やかになり、胸苦しさが無くなります。

介護の方などなら足下に座って自分の両手で患者さんのかかとを持ってあげるだけで良いでしょう。ドンドン足の冷えが取れてきます。

「なるほどとにかく暖めればいいのですね!」と仰るのですが、注意点があります。

それは「汗をかかせないように温める」と言うことです。

というのは汗をかくとその局所はその後冷えてくるからです。

ですからカイロを当てたり、湯たんぽを抱かせたりするのは慎重に様子を見ながらやらなければ行けません。

体を温めるのも意外とむずかしいかも知れません。

ですから手で温めるというのは手間がかかるようで、実は効果的で確実な方法なのです。

 

禁煙と鍼灸治療

歌手の坂本龍一氏が「中咽頭癌」と発表されています。

6月下旬に判明したとのことですので、まだまだ驚きと不安、混乱が収まっていないなかでの発表かと思います。

「咽頭癌」はちょっと特殊な癌であまり罹患者は多くはありません。

ネット情報ですが日本では年間3000人位の発病だそうです。

喫煙との関連の深さが指摘されており発病者の実に96パーセントが喫煙者だそうです。つまりタバコを吸わなければ日本中で年間100人程度しか発病しません。

実は私の父がこの癌で亡くなっています。やはり喫煙者でした。

父は残念な結果でしたが、坂本氏の回復を願っています。

 

ところでネットで見てみると、坂本氏の「鍼灸で禁煙をした体験記」が出てきました。

ニューヨークで中国人の鍼灸医の施術を受けて10回目に大きな変化を感じてやめることができた。とあります。

中国では僕がいた当時から鍼灸による禁煙治療は盛んでした。針灸科の一つの「定番」であったと言っても良いでしょう。

主には「耳針法」にて禁煙のツボに数カ所粒を張った上で手足、頭部のいくつかの穴に置針をします。

痛みはありません。他の治療と同じで患者さんはグーグー寝てしまう人が多いです。

泉堂でも同様の禁煙治療をやっています。いままで多くの人がこれで禁煙に成功しています。

僕はいつも「最低ワンクール、6回はやってみて下さい」と最初に念を押します。

その位やらないとピンと来ない方が多いからです。

でも坂本氏の例もあるようで、10回位でやっと効果を感じる人もいるのですね。

 

http://openers.jp/culture/sakamoto_uekara/009.html

脊髄動静脈瘻と鍼灸

30代女性「 脊髄動静脈瘻」という病気で2月から通院なさっています。

この病気は血管の奇形により動脈と静脈が直接つながっている状態になっています。

発生した部位によって出現する症状は様々ですが、この方は腰椎付近が病巣のため臀部から下肢にかけての痛みと足の指の麻痺が出現しています。

痛みはかなりひどくて毎日2回づつ痛み止めを服用しないと生活できない状況でした。

治療後痛みは改善し、1月ほど前からは痛み止めの服用もやめる事が出来ました。

足先のしびれはまだあるようです。こちらの改善も目指していきます。

 

 

書痙と鍼灸

 

60代男性:書痙

治療をすると震えが治まり、5日ぐらいは普通に書ける様になってきたそうです。

少しづつ好調な時間が延びる様工夫して治療していきます。

治療は指端の十宣穴も使います。でも痛みはほとんどありません。

お腹が気持ちよくすいてきます。

50代後半女性、不眠等更年期障害。

心包経井穴中衝穴、胃経合穴足三里穴。

二回目の治療の後から空腹感を感じご飯を食べたらとてもおいしかったそうです。

「こんな感じ忘れていました。夕方お腹がすくのが楽しみなんです。」とのこと。

そうです。人は長い間調子が悪いと麻痺してしまって不調を感じる事が出来ません。

かなり多くの方がそうなっています。

治療で元気なってきてそのことに気がつきます。

 

耳鳴りと鍼灸

60代女性。生来の難聴に加えて数年前から耳鳴りがひどくなってきました。

耳鳴りが小さくなっていくと、「最近はむしろ胃の痛みが気になるの」との事です。

伺うと数年前からあったようです。

胃の治療をして痛みがなくなってきたら「最近は足の裏の痛みが気になるの」との事です。

去年から痛かったそうです。

一番辛い事がなくなっていくと、その次に辛い事がクローズアップされていく方がいます。

それはそれで自然な事です。それでよいと思っています。

モートン病と鍼灸

「モートン病」という病気があります。足の裏が痛くなる病気です。

大抵は足底の先端、指の付け根の骨の高まりが痛くなり、ひどい人は足全体が痛くて歩くのが苦痛になります。

原因はハイヒールの履き過ぎなど靴の問題ではないか等といわれていますが本当のことはよくわかりません。

(ハイヒールを履かない人でも痛むことがありますね)

この症状も鍼灸は良く効きます。腰のバランスを整えて、足底にも適切に施術をすると痛みが改善します。

足底だけ治療しても効果は上がりません。

神経分布から考えても腰部の仙骨付近の緊張も充分に解放する必要があります。

又なぜかはわかりませんが大腿部の脇にある「風市穴」を併用すると効果が上がることに気づき、良く使います。

足が痛む人は大抵の場合ここがかちんかちんになっています。ちょっと触っただけでも痛い、と顔をしかめる方もいます。

ここの緊張も良く取っておくと良いのです。

足底の痛みの原因は意外と上の方にあり、そうした場所にも充分に目配りしながら治療をしてゆく必要があります。