月経痛と鍼灸治療

「病因が脈に強く反映している時こそ治療の効果が高い」という意味では痛みの治療は総じて痛みが出ている時の方が効果的、と考えることも出来ます。

つまり正しい診断がしやすいということも含めて、症状が出ている時の方が治療に適している時だということになります。

 

女性の患者さんで月経痛の治療なども月経中の痛みが出ている時が効果的な場合は多いと思っています。

初診の方などで「月経中なのだが鍼灸治療を受けても大丈夫だろうか?」というお尋ねが時々ありますが、そういうわけですから、治療を受けて大丈夫です。

月経痛などの症状が有る方であれば、むしろ治療のするのにちょうど良い時期であるともいえます。

そのような時は何とかがんばって痛み止めなどのお薬は服用しないで来院して下さい。

痛み止めは一般的には体の中の生理的働きを抑制する傾向がありますので、鍼灸治療をする時はその効果を抑制する傾向があります。

鍼灸は体の中の各種の反射や生理的な機能を高めることで効果を表していく治療です。

そのような配慮はできるだけなさった方がよいようです。

 

月経痛に関していえば排卵期や月経直前の時期も治療上大切です。

特にPMS(月経前症候群)の方の場合はその時が一番症状がはっきり出ている、という方も多いですから。

 

パニック障害と鍼灸治療

 

「ストレスをかけて治療の効果を高める」を高めることを感情障害の治療にも応用することがあります。

例えばパニック障害の場合。

狭いエレベーターの中が苦手な方にはエレベーターに乗っている自分を想像してもらいます。

大嫌いな上司がいる人にはその人が今目の前にいる所を想像して頂きます。

そうしたその人にとってのパニックが起きやすい苦手な場面を想像して頂きます。

そうすると脈が浮いて速くなり固くなります。この脈をゆったりして柔らかくツヤのある脈に仕上げていくとパニックの発作も徐々に治まっていくものです。

もちろんこの方法は全員に行えるものではありません。いやがる方もいますので無理強いはできません。

またパニックがいつ起こるかわからず、特定の場面を想起しにくいという方もいます。

その様な事もありますので全員一律にというわけではありません。あくまで一つの工夫としてそういうこともやります、ということです。

 

昔の治療の本など見ているとうつ病の人の治療の際、医者がわざと怒らせるようなことを言うという話が出てきます。

うつ病の人は怒って大きな声を出すとうつが治ることがあるというのです。

うつ病の人は感情を発散するのが苦手な人もいますから、そのようの話もあながち嘘ではなく、ありうることだなと思います。

でも私は気が弱いのでそんな患者さんを怒らせるようなことはとてもできないでいます。

 

花粉症の鍼灸治療

花粉症の治療の際は外気を取り込んで小物入れにとじこめて用います。

特に一番アレルゲンを含んだ2月、3月の空気を入れておへその上に置きます。

「杉の花粉自体を瓶に詰めておいたらどうか?」と考えたこともありますが、それでは強すぎるようなので、いまは外気だけの小瓶を用意しています。

ハウスダストがアレルゲンだという方には、ほこりや猫の毛を入れた小瓶も用意しています。

外側はきれいに消毒して清潔にしていますので、安心です。

治療室の中は空気も環境もいつも清潔に保っていますので、こうしたアレルギー治療の場合は色々な工夫が欠かせないのです。

 

40代男性で膝や肩の関節の痛みの治療で通院なさっている方がいます。

「日光アレルギーもあるので何とかならいないだろうか」というご相談でそちらの治療も含めています。

日光に対して敏感で、少しの日焼けでも皮膚が真っ赤になり、湿疹がでて痒みを感じるようになるようです。

治療の処方はもちろん来院の前に少しだけ日焼けをして頂くことです。

幸い当マンションの前が大通り公園ですので、 少し早めに関内にいらして公園のベンチで少しだけ日光浴をなさるようです。

少しづつ日光浴の時間が長くなり、発赤の様子も以前ほどではなくなってきている様です。

 

食物アレルギーの鍼灸治療・2

それでもどうしてもダメ。あるいは来院前に乳製品を取り損ねた、という方のために当院では小さなカプセルにアレルゲンを入れて準備しています。

これはダイソーで買った化粧品用の小物入れです。この中には陰干しした鶏卵の殻とチーズが入っています。

これを患者さんのおへその上に置いて脈診を始めます。どこでもできると思いますが、おへそは体の内部と外部をつなぐ通路ですから特に敏感なのです。

アレルゲンをおへそに置くと脈がさっと固くなります。この固さを治療の対象として柔らかく、和緩のある脈にすることでアレルゲンに対する耐性が作られていきます。

 

陰干ししたものを体の上において、本当に効果があるだろうか?という疑問があるかもしれません。

その答えは「固有振動」です。http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BA%E6%9C%89%E6%8C%AF%E5%8B%95

すべての物質には固有の振動があり、その振動はその物体が日干しになった位では変化しないとされているのです。

卵には卵の固有の振動があり、その振動から発せられる固有の波動がある。

故にその物体を体の上に置くだけでもその物体の影響を受ける。というわけです。

セラピーの世界ではよく使われている論理です。実際治療してみても効果があると感じています。

ただしこれはあくまで補助的です。

やはり直接アレルゲンを飲食して頂いた方がより確実に病脈が出現するのは間違い有りません。

 

食物アレルギーの鍼灸治療

 

「ストレスを与えながら治療をすると効果が上がるのだ」という言い方があります。

関節を曲げてもらったり、特定の姿勢を取りながら施術をしたりすることもこの範疇に入ると思います。

急性腰痛の際に回転運動をすることもその範疇に入るかもしれません。

それではこうしたストレス原理を他に応用できないか?というわけでおもにアレルギー疾患に使います。

たとえば「食物アレルギー」の治療を依頼されることがあります。

卵あるいは乳製品を食べると湿疹が出て皮膚がかゆくなる、胃が痛くなり下痢をしたり便秘をしたりして苦しむことになる・・・

そういう患者さんを治療するときは来院前に少量の卵あるいは乳製品を食べてきて頂きます。

その上で治療をすると効果はかなり切れ味の良いものになります。

漢方鍼治療では脈診を重視します。

そこには心身が受けている各種のストレスが形作る独特の病脈が出ているものです。

まずこの脈診の場所にターゲットを強く反映させることが治療のコツです。

そしてアレルゲン摂取によって形作られた病脈を治療することでアレルゲンに対する耐性が積極的に養われていくものなのです。

大抵の患者さんは「少しでも食べたらおかしくなる。全くダメ。」ということはありません。その人なりの許容量があります。

もしも無理なら臭いだけでも良いのです。

ぎっくり腰の鍼灸治療・2

 

しかしこの潤滑油も私達が疲れたり体調が悪くなると分泌量が少なくなり「涸れてしまった」状態になるときがあるのです。

そんな時に重いものを持ったり、体をひねりながら咳をしたりすると重なり合っている筋肉がこすれて炎症を起こしてしまうのです。(筋肉は運動する瞬間太くなりますからね)

炎症を起こす場所は筋肉の一番外側、すなわち筋膜です。

そういうときは、まず脈を調えて季節の外邪、積もった体のお疲れが抜けていくように治療をします。

そうすると、潤滑液の分泌が復活してきます。最初は少しづつですが、徐々にその量が増えてきます。

基本的に健康な人であれば、こうした変化は普通考えるよりもずっと速いものです。

その上で少陽胆経足臨泣、太陽膀胱経申脈などの反応が著名な穴に軽く留置した上で腰の回転運動をすると復活した分泌液が筋肉全体、そして多層につながる筋肉の間にまぶされ、しみこんでいきます。そのためこの回転運動を2.3分していると急に腰が軽くなり、するすると滑らかに回転するようになるわけです。

運動は楽になっても腰の痛みや違和感は完全には取れないことがあります。筋膜が負った損傷自体はまだ治っていないのでしょう。そこまで治るにはやはり日数が必要です。それは自己治癒の範囲の事だからです。

 

 

ぎっくり腰の鍼灸治療

 

さらに姿勢について。

肘や膝といった関節が特定の方向、角度まで曲げると痛みが出る場合も、その痛みが出る姿勢を取って頂いて施術をすると効果が明らかな場合があります。

腰や首といった大きな関節であっても時としてそういう工夫が効果的な場合があります。

そのためベッドに身を起こして首を曲げ伸ばしして頂いたり、ベッドサイドに立って体を前屈して頂いたりお願いする場合も有ります。

こうした関節ではいくつかの筋肉が層をなしており、それぞれの方向に運動することで特定の動作をする構造になっています。

丁度痛みの出るポイントの筋肉の組み合わせがその痛みの原因と係わりがある場合には、そうした治療が効くようです。

指の小さい関節等の場合は構造が単純で筋肉の多層な係わりもありませんので、その様な現象は起きないようです。

 

「ぎっくり腰」といわれる急性腰痛には大別して2種類があるいわれています。「急性筋膜炎」と「椎間板炎」です。

このうち「急性筋膜炎」は鍼を付けたまま腰を運動させる(立位でベッドに両手を付け腰をぐるぐる回す)と軽快する場合が多いです。

筋膜とは筋肉一つ一つを包んでいる膜のことです。本来この膜は潤滑液で覆われてヌルヌルの状態になっています。

ヌルヌルの状態ですから色々な筋肉が多層に重なり合って運動している環境下でも全く違和感なく運動することができます。

私達が普段の生活で体の中で筋肉同士が絶えず重なって運動していることなど全く感じることなく生活してるのもこの潤滑油のおかげです。

 

鍼灸治療の姿勢・2

 

経絡図で見てみると、肩胛骨のところで太陽小腸経がカクカクしたジグザグのラインになっていることに気がつきます。

こういう走り方をしているところはあまりないのです。

総じて経絡のラインは「連線」といわれるように穴と穴を結んだ直線のラインで表されています。

このジグザグは実は意味があって「ここで流れが滞りますよ。」という意味でジグザグに結んで表現しているのではないかと思うのです。

もうひとつ大きなジグザグがあってそれが太陽膀胱経が仙骨上を通るところです。

白環輸まで下りてきたラインが端上がって上膠まで行き、もう一度下がり直します。

その際相当鋭い角度を作ります。不自然です。

このように鋭く気が流れるという意味ではないと思っています。

ここでそれほど気が滞りますよ、というサインです。

それはここが病気の原因になりますよ、という警告でもあります。

ということは治療の効果の大きいポイントでもある、ということです。

首、手、背中、呼吸器の病気あるいは足、腰、婦人科、男性科の病気の際、改善のポイントとしてこうした場所の治療もやっています。

治療中の姿勢の変化など、ご協力をお願いします。

 

治療の姿勢

 

治療をするときに特定の姿勢を取るようお願いする事があります。

例えばむち打ちや頸肩腕症候群で首や手の痛みしびれがある時などは、横向きの姿勢で上になる手の平を顔の前に持ってきて頂きます。

こうすると肩胛骨が外側に開いて普段触れることの出来ない肩胛骨の内側の筋肉に施術することができ、効果が大きくなります。

肩胛骨内側の緊張は広い範囲にわたるエリアの各種症状の原因となっています。

また足先やかかとの痛みやしびれ、その他の下肢の頑固な症状がある場合は、横向きの姿勢で両足を90度ほど屈曲した姿勢を取って頂いた上で腰部に施術することがあります。

そうすることで仙骨が大きく外側にスライドし、普段触れることの出来ない仙骨の内側、仙腸関節上の筋肉へ直接施術することが出来ます。

仙骨の内側もまた緊張を持ちやすいところです。ここに緊張がたまると仙骨腸骨(腰骨)全体の動きが堅くなり、俗に言う「骨盤がずれた」状態になります。

その影響は下肢全体の慢性的で頑固な痛みやしびれの原因となります。

こうした普段「触れることの出来ない筋肉」もちょっとした工夫、姿勢の移動で容易に触れることが出来、大きな施術の成果を得ることが出来ます。

 

 

腱板断裂と鍼灸治療

70代男性:今年の3月にゴルフをしていたらショットをした瞬間に肩にぴりっと痛みが走り、その後徐々に力が入らなくなりまた肩を挙げることが出来なくなりました。

静かにしていてもずきずきと痛んでくるようになったので、病院へ行ってみたところ「右肩の腱板断裂」と診断され安静にするよう言い渡されたそうです。

腱板断裂は肩関節の痛み、腕が上がらない等の症状をきたす疾患で、中年以降の方に多く発生します。腱板断裂が発生すると、肩の力が弱くなったり、洋服の着脱が困難になったり、痛みのために眠れなくなったりすることがあるのです。

この方はその後3ヶ月ほど週に2.3回づつ整骨院に通い「電気とマッサージ」の施術を受けていたそうです。それでも痛身のために夜に一度ならず目を覚まし、肩は50パーセントぐらいしか上がらない状況でした。

昨日治療したところ、その場で肩が80パーセントぐらいまで上がるようになりました。さらに今日伺ってみたところ、昨夜は痛むことなく朝まで眠ることが出来たそうです。

3ヶ月たっているので筋の損傷は既に回復しているはずです。動きが悪いのは炎症が回復し切れていないのでしょう。

こういう時は「肩髃穴」がよく効きます。すっと痛みが取れてしまいます。

腱板断裂に限らず、筋断裂(肉離れ)の後遺症もよく扱います。