横浜市中区関内の鍼灸専門院 「泉堂はり灸院」

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2016年:漢方鍼医39号巻頭言「難経五十難から整理する漢方鍼治療」

2018/04/04 | カテゴリー:最新情報, 横浜泉堂鍼灸院長の考えていること

 今本会では邪の治療が提唱されております。一方で新しい邪の治療と従来の治療の位置づけがわからず頭が混乱している先生もおられると聞きます。今まで一生懸命やってきた先生ほどそうかもしれません。そこで今日は難経五十難を引用して本会の治療全体を解説したいと思います。

 

「病に虚邪有り、実邪有り、賊邪有り、微邪有り、正邪有り。何を以って之を別たん。然るなり、後ろより来たる者を虚邪と為し、前より来たる者を実邪と為し、勝たざる所より来たる者を賊邪と為し、勝つ所より来たる者を微邪と為し、自ら病む者を正邪と為す。

何を以って之を言えば、仮令ば心病、中風之を得るを虚邪と為す、傷暑之を得るを正邪と為す、飲食労倦之を得るを実邪と為す、傷寒之を得るを微邪と為す、中湿之を得るを賊邪と為す。」(難経五十難)

昭和初期に古典鍼灸復興が叫ばれ井上・岡部・竹山といった先生方が最初に注目したのは六十九難七十五難でした。特に六十九難の中の「虚するものはその母を補い実するものはその子を瀉す」は長く経絡治療の根幹理論となりました。これは五十難で言えば実邪と虚邪の処理にあたるだろうと考えます。

しかし直に彼らも母子関係の治療だけではうまくいかないケースが有ることに気がつきます。むしろ相克関係こそ治療の要ではないかという話が出てくる。私が入会した時期の東洋はり医学会が肺肝、脾肝、脾腎という証を作って治療していたのはそうした疑問に対する取り組みであり、これは五十難で言うところの微邪賊邪の治療にあたると考えます。

やがて本会になってから三十三難の応用が提唱されました。相剋経を表裏の剛柔関係を応用して処理していくことで微邪賊邪の治療は大きく前進しました。

 

そして今学術部が進めている「旺臓の時邪の治療」は正に「自ら病む」正邪の治療であると考えています。五季、六気というタイムラインの上で読み解くことで、ついに我々は五十難最後の邪である正邪の処理にたどり着くことができたわけです。

30年以上、時にはどこを歩いているのかよくわからない時もありましたが、今こうして五十難の邪の伝変という観点から見た時に、我々が迷うことなく一つの道を歩み続け、又同時に選経という点では終にゴールへたどり着いたと言うことがわかります。

五十難は一見すると邪の伝変を語っていますが、「精気が虚すれば邪が実する」の理論を重ねれば、そのまま精気の虚の有り所を語るストーリーでもあると考えて良いと思います。要は同じ現象のいずれを主体としてみるかの違いだけです。これが精気の虚を追ってきた30年間の変遷が邪の伝変論でもぴたりと説明できる道理です。


 井上・岡部の両師が六十九,七十五難を特別重要と考えたのは、明らかな治療原則として文言が書かれているからではないかと思います。また既に「病は精気の虚から始まる」事になっていたので五十難の邪の伝変論は軽視されることになったのではないかと理解しています。
 しかし今改めて読んでみると五十難こそが経絡からみた病の伝経の全体像であり、六十九難はむしろその一部を語っているに過ぎない文章であるということが理解出来るわけです。

 

何にしても第一歩はまず旺臓の時邪を探してみることです。11月初旬は六気で言えば五ノ気:陽明燥金で肺病の季節です。五季で言えば7日の立冬を過ぎれば冬季の腎病の季節に入ります。脈診を入念に行いつつ七十四難或いは五行穴(金邪は金穴)による取穴を行い両者の可能性を探ってみて下さい。正邪の意外なほどの多さと、うまくいった時の切れ味の良さに会員一同皆が気づくことが大事です。

もしも旺臓に時邪がなければ既に伝経済みと診て、他の四臓の病を探します。これは従来と同じ治療と考えて良いのです。四診を総合して病を類推し主証を決定した後は、単一主証、三十三難、六十九難、七十五難等を駆使して処理するという事になります。

 

2017年「漢方鍼医」掲載

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