鍼灸聚英にみる心の病症と配穴05:心包経

ー平成24年8月 漢方鍼医会夏季学術研修会における発表よりー

問:心経が後から足されたわけですが、臨床では心包経を使い、心経は使
いませんか。
隅田:心経は歴代の医家たちが、その後2千年にわたって使ってきているわけですか
ら、使う意義はあると思います。その研究は、まだ十分ではありません。ただ1つに
は、実際の心臓病が進行している場合に、心包経よりも心経を使った方が良い場合が
あります。このことに関しては意識しています。

問:資料の中では手掌の熱ということが、特徴的に何度も出てきています。「心、
心包」を使うときに、この手掌の熱と左手寸口と関上の脈状に、何か特徴的なものが
ありましたら考えをよろしくお願いします。
隅田:特に手掌の熱に限ることはありません。基本的な心の脈状である浮、大、散の
脈であれば良いですが、大きすぎる浮、大の脈状ならば、「心、心包」を使っても良
いとは思います。

問:実際の治療室では、虚熱がとんで心臓病のような症状を呈することが多いよう
に感じている。
隅田:動悸、心痛は心虚証が適応する有力な分野だと思います。しかし、心の経絡は
上焦の熱を下焦へ送る働きをしていますので、探せばより広く心虚証を適用できる
ケースを発見出来ると思います。
問:資料にあげられた症状(精神、感情、循環器、呼吸器疾患など)は、心虚証と
して1つずつ現れるものではなく、熱があれば全部まとまって出てくると感じてい
る。
隅田:熱がどこに由来するモノであるかを見極めるのは、必ずしも簡単ではありませ
ん。しかし、四診を用いてよく観察すればそれは可能だと思います。また、心虚証の
適応は心熱だけに限っているわけではなく、上焦に漂う諸熱に対して広く適応すると
思われますので、是非試みて下さい。
問:心包は使えるが、心経には中々踏み込めない。心、心包の使い分けの目安につ
いて、発表以外で具体的な事例があれば是非教えてほしい。(地方組織研修会でも、
臨床上でも心包を使う事はある。脾虚の時が多いが、精神、身体症状が多い時に心包
を考える。身体症状が多く心身症が考えられる時など)心臓部の詰まりなどを目安に
している。新テキスト記載の是動病、所生病欄「心包=精神症状の記載あり、心=臓
そのものの病記載のみ精神症状記載なし」など、精神症状の有無は心、心包の使い分
け目安になるのかとの話から。)

隅田:「心、心包」の使いわけは私もまだまだ研究中で、あの際に発言した以上の情
報はもっていません。私は、普通は心包経を触り、次いで心経を触ります。やはり、
心包経の方が使い勝手が良いかな、と感じている程度です。精神症状の有無は気を付
けてみてみます。その他、何か発見があればお知らせ下さい。宜しくお願い致します。