漢方鍼医会の脈診03

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ー医道の日本投稿 「漢方鍼医会の脈診」:平成28年9月号よりー

4.祖脈診

脈状の基本は王叔和が著した「脈経」の二十四脈を基礎としこれに「長・牢・短」の三脈を加えた「瀕湖脈学」を意識する場合もある。

本会の研究会では一般的には「難経」諸篇の記述から「浮・沈・遅・数・虚・実・滑・濇」を祖脈として扱い、モデル患者の脈状の評価に用いている。病位や邪の種類を推し量ると同時に五臓の虚実にも通じる重要な要素とする。

(1)浮沈・・軽く指を当てて感じる脈が浮脈、ある程度力を加えて始めて感じるならば沈脈とします。浮脈は病が陽位(皮毛部や陽腑の経脈)にある事を示し沈脈は病が陰位(筋骨や陰臓の経脈)にあることを示す。

(2)遅数・・術者の1呼吸中に脈数が4、5動するものを平とし、それより多い場合は数、少ない場合は遅とする。数は陽に属し熱や腑病を、遅は陰に属し冷えや臓病を現す。

(3)虚実・・指に力強く打つ場合が実で、弱く打つ場合は虚である。実は陽に属し外邪に犯されて発病する場合に現れることが多く、虚は陰に属し、精気が不足した状態の時に現れる。

(4)滑濇・・滑は脈の打ち方が滑らかで玉を転がすような感じを受け、濇は打ち方が滑らかでなく、渋々打ってくる感じである。滑は陽に属し、発熱、血実等の病変を現すとされるが健康者にも診られる。濇は陰に属し、気の不足あるいは気血津液共に不足の場合に現れる。これらは、予後の判定にも応用できる脈状である。

 

5.五臓脈診

五臓の正脈については『難経』四難や五難等で説明されている。四難の前段では、五臓の正脈を説明し、五難では菽法脈診法の実際において、指圧を豆の重さで説明している。それに従えば、肺の脈は浮、濇、短で三菽、心の脈は浮、大、散で六菽、脾の脈は緩で九菽、肝の脈は弦、軟で十二菽、腎と命門の脈は沈、軟、滑で十五菽となる。

いずれもこうした脈状が適切に打っていれば正常脈、過大であれば病脈と見る。選経の際の最も大きな手がかりの一つとなる。

 

6.邪の脈診

先ずは3菽即ち皮毛の部位を中心として病脈を探し、触れたならばその部位に応じた邪が実していると診断する。右手寸口は金邪、右手関上は土邪、左手寸口は火邪、左手関上は木邪、左手尺中は水邪とする。また選穴にあらず選経なりと捉える考え方もありその場合は六部定位による各部陽経の変動と捉える。