心の治療:2014:心の生理病理 神志

ですから心に変調があると、精神活動全体に変調が出ます。

「心血」という言葉はご存じだろうと思います。心臓が司る血、或いは心臓そのものを養う血、という意味で使われています。

心血は各組織を養う上にこうした心の精神活動を支える基礎的物質の一つです。

心血が十分でなければ心悸、健忘、不眠、多夢といった症候が出現します。

中医学的にはしばしば定番のように以上の症状が並ぶのですが、臨床的にはある種の感情障害も含めて精神不振全般と考えて良いように思います。

そう考えると心の病症が如何に深く広いものであるかが、良く理解出来ることと思います。

 

霊枢邪客編には「心に虚無し」と理解されてる一文があるわけですが、私もやはり心に虚証は少ないと思っています。

心臓というものは胎児の段階から激しい鼓動を刻み初め、おおよそ老人になるまでその活動が衰えることはありません。

その生理から考えても老人以外に虚証は比較的成立しにくい。

むしろ古典の本を読んでも心の病症のほとんどは実証であり、熱証であるといって良いのではないでしょうか。

陽気循環の源である心は上焦にあるが故に何か不都合があれば容易に過剰な熱邪に包まれるという病理を抱えています。

過剰な熱は気血の滞りを起こす病因となり、上焦から頭部にかけての各種器官の障害の源であり、神志の安寧を妨げる存在として作用していくわけです。