心の治療:2014:四行が五行に

 

11月の東京漢方での講義に向けて少しづつ考え方を書きためていこうと思います。

先年発表した「心の治療の実際」はその後少しづつ反響を呼んでいるようです。

夏期研でも何人かの先生に呼び止められ、心虚、心実の治療に関するコメントを求められましたし、こうして東京漢方鍼医会からも講義の要請も来ました。

そのなかで気になる反応がいくつかあります。それは「隅田は心の治療を多くやっているのか?そればっかりやっているのか?」といいうものです。

もちろんそういう事はありません。四診を踏まえた上で五臓皆、まんべんなく用いています。

とはいえその頻度は数年前に比べて格段に多くなっていることは否めません。心の治療は心熱に限らず上焦、あるいは胸に滞る熱邪を強力に下に押し下げるものです。その使い勝手と有効範囲の広さはなかなかのものがあるように思います。

元々中医の病理学などを見ても、五臓の中でも心の病証はもっともバラエティー豊かに描かれている傾向があります。色々な場面で使われて疑問はないと思います。

2012年に発表したようにそもそも「心心包を弁証の対象から外す」という考え方はそれほど歴史のあるものではありません。たぶん昭和初期の経絡治療黎明期。それ以前の資料を辿る事ができません。今となっては誰がどの様な意図でそう言い始め、皆を得心させたのか、正確な資料も残っていないのです。

あの時霊枢邪客編の文章からと説明したのもベテランの先生の記憶を頼りに書き上げたものです。

しかしそのような解釈はそれまでの中国医学の歴史の中にも探し出すことが出来ないものです。