心の治療の実際・2「陰虚火旺」

1.陰虚火旺

症例1・ H23/9/08

女性  S28生まれ

主訴:冷えのぼせ、動悸

問診:10年ほど前から足腰の冷えと慢性的な腰、膝の痛み、高血圧等があり本院にて鍼灸の治療を受けていた。症状が楽になると治療から遠ざかり、辛くなると又しばらく通うといった感じで通院してきていた。今回は半年程前から更年期と見られるのぼせが始まったという。のぼせが始まると上半身がカーッと熱くなり、大汗をかく。夏の終わりに風邪を引いた後から体調が一段と悪化し、のぼせと一緒に動悸がする様になってきた。

ひとしきりドキドキとしてなんだか気持ちが悪い。また自宅の2階に上がるだけでも息切れがして苦しくなってきたという。今までは何でもなかったのに2階に上がると息苦しくて手すりにもたれている自分に気づき不安になると嘆く。睡眠中もしばしばカーッとのぼせるので眠りが浅い。導眠剤のリーゼを服用2年。いつも疲れが抜けず体がだるい。やや太め、足は少し水滞を感じる。舌尖は赤い。

脈証:浮、数。左手寸口大にして有力。左手尺中浮、虚

腹証:表面冷たく、全体的に津液水多くタプタプとしている。小腹腎の見所は陥下して力なく虚している。心下部心の見所から胸に熱感あり。

治療:腎虚陰虚が高じて心熱が高ぶっている腎虚心実証とみました。心包経滎火穴労宮に指を置くと脈が緩やかになるのを感じる。さらに腎経滎火穴然谷を軽擦すると脈が程よく沈んでいく。労宮、然谷に営気の手法。

治療後浮いて速かった脈が沈んで緩やかな脈となると共に脈幅が締まって程よい脈となる。

標治法:失眠の施灸 腎兪に知熱灸

 

9/12:第2診:前回直後に大量の排尿がありその後のどが渇いて水を飲んだ。以後一日半程はのぼせ、汗が無く体調良かったとのこと。しかし2日目以降は特に夜はのぼせて目覚めて深く眠ることができない、と言う。

一回目同様 労宮、然谷に営気の手法。

 

9/18:第3診:前回治療後3日ほどのぼせ、動悸、汗無く楽に過ごせた、と喜んでいるがその後はまた特に夜が辛いと訴える。

労宮穴、然谷穴へ加えさらに膀胱経委陽穴を触れると一段と脈にツヤがでる。同穴に衛気の手法を行う。

治療後今回は特に下肢の水滞が良く引いたように感じる。

9/25:第4診:前回後昨日まで6日間昼間はのぼせ、動悸はなく夜も随分眠りやすくなったとのこと。自分もまだまだ元気になれるのではないか、と随分安心した様子。

以後週に一度の同様の治療を数回くり返したあと治療終了となった模様。