心の治療の実際・9「アトピーの女性の治験2」

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あまりに改善しないのでもしやと思い、改めて脈を見直してみると、浮、大に
して両手寸口がとくに騒がしい。
右心包経栄火穴を取穴すると、良い反応があります。心虚証と見て衛気の手
法。浮いた脈が中位に収まり、脈幅も程よく収まる。顔の赤みも引き、胸の熱も
引いて行くのを感じました。
ここから数回は心虚証の治療。皮膚の炎症、痛みは改善するものの十分に満足
できる状態ではありませんでした。
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右心包経栄火穴への手技を営気の手法へ変更した上で、腎経栄火穴然谷穴に衛
気の手法を行う腎虚心実証へと変えたところ状態は大きく改善しました。
それから数回で来るたびに元の状態に戻ってゆく。赤みが引き、皮膚の痛み、
次いで痔みが緩解し、精神的にも落ち着きまた快活におしゃべりをする様になっ
ていきました。
. 8月以降
月に2回、11 月以降は月に1回程度の健康法へ移行していきました。証は主に
は心実腎虚、生理の前後などは時に心肝の六十九難型心虚証を行っています。本
年2月7日の診療の際に「久しぶりに捧みが出てきたJ というコメントがありま
した。昨年も2月上旬から体調不良が起きたことを考えると、季節性の邪が関係
している様です。春の風邪が入ってきて体内の熱邪と一緒になって血熱を起こしていたようです。
(考察)
最初来た時は燃える様な赤さの皮膚の炎症、痛みを訴える皮膚炎、点状の出血、精
神的な不安定さといった典型的な血熱の症状を見てすぐに肝の治療をしなければ、と
思い至りました。そして肝虚陰虚証の治療を行ったところ、満足すべき脈状となり、
また順調な症状の緩解を見ました。血熱に対して肝を病因とみる弁証の正しさを示す
症例となったかと思いました。H24年の春先の体調の崩れは季節の邪によるものが
あったかと思わましたし、過去の治療の成果にも縛られ、いたずらに肝に対する治療
にこだわり事態の悪化を招いてしまいました。基本に返って脈状を伺い寸口の浮大脈
に気づいたこと、経験的に熱症状には心の治療が有効な局面があることから心の治療
を始め、快方へ向かうごとができた。
心虚証としたのは手技が衛気であったことによる。病理の証としては心実。治療の
証は心虚(衛気の手法)ということがしばしばあります。私の手技のったなさによる
ものかもしれませんが、こうした矛盾は今後の課題であると思います。

※血熱証を形成する原因には次のような2つの側面がある。
①外邪侵襲によるもの。
多くは外感熱邪が人体を侵襲するか、あるいは外感寒邪が裏に入つてのち化
熱し、さらに血分を損傷して引きおこす。
②情志欝結によるもの。
情志欝結が長く続くと化火し、内熱を生じて血分に損傷がおよぶ。例えば、
肝胆気欝から気欝化火し、内火が盛んになって血分におよぶと血熱となる。
心煩・燥擾・発狂心は血を主り神を蔵す。血熱が盛んになると心神を擾乱し、
精神情緒が不穏となり、軽い場合には心煩を自覚する程度で
あるが、重いとイライラしてじっとしていられなくなる。さらには精神のコントローノレができなくなリ発狂する。これは血熱証に神志錯乱を兼ねる場合の症状である。
この様な事から、外邪による者は別として肝熱が血熱証の元であり、その結果徐々
に心熱の症状が現れるという様に納得することができる。