心の治療の実際・8「アトピーの女性の治験」

来院時は全身の痔みは元より、しばしば痛みを感じる。ひどい時は風が吹いても痛
い、洋服がこすれでも痛い。そのためソファーから立ち上がることさえ苦痛。痛みが
少なくなるまで体が固まってしまうこともしばしばあり、苦痛から逃れるため過食症
となっているとのこと。外から見ると無表情にして呆然とし、言葉はポツポツとしか
語らない。痛みの苦しみ、病気への怒り、将来への不安、充分に世話をしてあげられ
ない子供と夫への罪悪感が心の中で渦巻き、心が壊れそうであったとは、一年以上
経ってから聞いた、当時の心境でありました。

(脈証)
浮、やや数、左手関上弦脈。
(腹証)
皮膚が薄く所々皮膚が破れ、血と膿が惨んでいる。触れると臓の周囲が堅く、大腹
も筋張っている。大腹から胸にかけて強く熱感あり。
(治療)
肝虚陰虚証と見て肝経栄火穴行問、腎経栄火穴然谷に営気の手法。浮いた脈が中位
に収まり、穏やかになった。
両手三里と肝台、腎命穴へ知熱灸。
(経過)
. 7/1 9 (第2診)
術後、夜は久しぶりによく寝られたとのこと。肌の方は血膿の出方が減少し、
痛みが緩和した様だとのこと。脈状は前回よりやや落ち着いた様に見えるがまだ
まだ浮数である。前回と同様の肝虚陰虚証の治療を行う。
-第2診以降
肝虚陰虚の治療が続く。標治法も変化はない。皮膚の出血は数回で止まり、痛
みが引き、肌の赤みも徐々に引いていった。カノレテによると8月13日の第5診の

際に「過食が止まってきた」というコメントが見える。苦しさから逃れるための
過食をしなくなってきた。それだけ苦痛が減少してきたという事の様でした。
まるで赤いTシャツを着ていた様だと思われた肌の色も普通のアトピーの色に
なり、そしてさらに肌色も垣間見える様になっていきました。最初は押し黙り、
呆然としていた様子だったのが、徐々におしゃべりをする様になっていきまし
た。
その後は週に一回の定期的な治療を継続していきました。「もうすっかり良く
なった、そろそろ健康法かな」と思っていたのですが、平成24 年に入ると徐々に
体調が崩れます。
最初は2月上旬生理前2日にわたって体調が悪化した、との報告がありまし
た。皮膚の炎症と庫みの再発と精神のうつ状態の悪化とのことでしたが、生理が
来ると同時に消失したそうです。しかし、生理後また症状が悪化しはじめまし
た。
私はここまでの経過の良さに引きずられ「まあ何とかなるだろう」と肝虚証の
まま、単一主証にしたりツボを五行穴の範囲で動かしたりという試行錯誤をしば
らく繰り返してしまいました。そして気がつくといつしか来院時の様に赤い顔で
無口な状態に戻ってしまっていました。

2016年2月20日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : izumido