心の治療の実際・4「呼吸器疾患」

2 .呼吸器疾患
昨年読んだ『誠灸緊英Jの中には、心の病症として各種呼吸器疾患の名前が頻繁に
挙げられていました。心と呼吸器病の関係について考えてみます。
まず『素間』の咳論篇では五臓六附の咳が述〆られており、その中には「心咳」に
関する記述もあります。
「黄帝聞いて日く、肺の人をして咳せしむるは、何ぞや。岐伯対えて日く、玉蔵六府
は皆人をして咳せしむ。独り肺のみに非ざるなり。帝日く、顧わくは其の状を聞か
ん。岐伯日く(中略) 心咳の状は、咳すれば則ち心痛み、喉中介介として梗状
(こうじよう:っかえてふさがる。)の如く、甚だしければ則ち咽腫れ喉痩す。」
心咳の症状は、咳をすると胸が痛み、咽喉になにかが詰まったような感じがあり、
甚だしいときには咽喉が腫れて閉塞します。そもそも古典の理論から見ても心の咳が
あっても全く不思議ではないわけです。
また、呼吸器の代表である肺と心の関係についても考えてみます。漢方医学的には
共に隔上に位置し三焦論で言えば上焦をなしている臓器です。上焦の病の特徴は熱で
す。この二つの臓器は共に熱が滞りやすい臓器であり、その熱を如何に速やかに処置
して臓器を爽やかな状態に戻すかが治療の鍵になる場合が多いと言えます。
解剖学的にみても、心臓と肺臓は共に胸部に位置し、一つの心臓は二つの肺と幾重
にも太い血管で結ぼれています。すなわち二本の肺動脈と四本の肺静脈です。合計六
本の太い血管によって結びついており、形状的にはこの二つの臓器は他臓器にはない
格別密接な関係が有るわけです。生理的にも肺臓は全身の血液を集めてガス交換をする臓器です
が、その血液を全身に力強く巡らす力は心臓の拍動によるモノです。その為、心臓と肺は幾重にも太い血管を繋いでいるわけです。
病理的にも密接な関係にあります。例えば「心肺停止」という言葉が有ります。「心肺停止とは心
臓と呼吸が共に止まった状態のことです。心臓の動きが先に止まる場合と、肺の動き(呼吸)が先に止まる場合とがあるが、いずれの場合でも放置しておけば必ず両者は合併し「心肺停止状態」となりま
す。しかし、蘇生の可能性が残されているため死亡状態ではありません。脳に血が行
かなくなるため手遅れになると、たとえ命は助かつても脳死状態になる危険があるの
で、この状態に陥った患者に対しては、人工呼吸や心臓マッサージなど迅速な救命措
置が必要です。(wiki)J
このように心臓と肺臓は常に協調して動き続け、止まる時も相前後して止まるとい
う生理的にも病理的にも非常に密接な関係にあるということがわかります。こうして
見てみると主に肺の障害である呼吸疾患に心、心包の経穴が用いられるのも理解できる道理です。
それでは今回呼吸器疾患に、心、心包を主症として用いたケースを検討していきます。

 

2016年1月23日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : izumido