心の治療の実際・15「心虚陽虚証」

(問診)
7年前田舎から出てきて専門学校へ入学。その際の環境の変化について行けずうっ
病を発症。気持ちが塞ぎ、欝々として外出が困難。眠りも浅く途中覚醒があり、熟睡
感がない。抗うつ剤を常用しており、時々睡眠薬も服用。胸がふさがる感じがあり、
首肩の張りがあると訴えるが触診してもたいした緊張は感じない。疲れやすく、便秘
がち。
生来のアトピー性皮膚炎があり体幹部に広く軽い炎症が広がっているが本人によれ
ば「今はアトピーは調子の良い状態で気にはならない。」とのこと。
月経は不順気味であったが、ここ一年生理が無くその原因は不明。
(脈証)
沈細にしてやや固い(薬物の影響か弱とは言い切れない)。左手寸口虚、時に結代
あり。
(腹証)
表面ざらつき冷たい。所々アトピーの湿疹あり。心寵部は力なく、うっすらと汗を
かいている。
(治療)
心虚陽虚証と見て心包経命土穴大陵に衛気の手法、脈診すると脈に太さが出てやや
浮いてくる、不十分と見てさらに肝経命土穴太衝を探ると脈に柔らかさが出てくる。
そのまま同穴に衛気の手法。さらに陽気を補うため三焦経陽池穴に衛気の手法。不十
分ながらもいっそう脈に太さが出て来るのを確認しました。
手三里、三陰交に知熱灸。
(経過)
・1/12 <第2診)
前回後はいつになく夜眠れ、肩首の張りも楽になったとのこと。脈診してみて
も前回同様の脈状に感じて同様の配穴にて治療。
以後2/8の第6診まで同様の治療。
睡眠は良く取れる様になり、うつ的な気分や胸のふさがりも緩解し肩首の張り
も楽になり、体幹部のアトピーが薄れてきた、と評価する一方で体がだるいと訴
える。睡眠薬を減らしたこともあり、脈状は以前より柔らかくはなってきたが、
沈細の脈状は基本的にある、と思われる。
・2/16 <第7診〉
もう一度穴を取り直してみると心包経栄火穴労宮を触ると思ったよりも脈が浮
きふくらむ様に感じるので、思い切ってこの労宮穴のみで治療してみる。さらに
陽気を挙げるために百会穴へ留置誠。以後3回同様の治療。
. 3/1 6 <第10診〉
脈状は徐々に幅が出てきており結代も少なくなる等良い変化を術者は感じるも
のの本人は体がだるく、疲れやすいと訴える。さらに食欲もさほどではない旨の
訴えがあり牌経を探ってみると脈状の良い変化があり、労宮穴に続いて牌経栄火
穴大都に衛気の手法。
.3/23 <第11診〉
前回治療後生理が来た、と報告があった。1年以上ぶりだったが結構きちんと
した月経であったと珍しく表情も生き生きとしていた。前回同様の治療。