心の治療の実際・12「パニック障害治験2」

(経過)
・2/11 (第2診〉
術後、半日ほど気分が良く安心感が広がり、今後に期待を持ったとのこと。し
かし、睡眠は変化無く、動惇も苦しい。それを何とかならないだろうかと訴え
る。
改めて脈を見直すと左手寸口の脈が浮大にして虚。心虚証とみて右心包経栄穴
労宮と腎経栄穴然谷に衛気の手法。治療後寸口の脈も整った模様。
.2/14 (第3診〉
前回後今日まで気分が良く安心感がある状態が続いている、とのこと。
一晩3回起きていた途中覚醒も一回になり、熟睡感が出てきた。しかし一日何
回かドン、とくるような動俸は未だ変化はないとのこと。脈は少し幅が出てきた
様だが、遅数はむしろ遅に近く、力ない虚脈に感じる。火経の剛柔である跨脱経
の穴を触診し、最も反応の良かった委陽穴を用いることとする。
労宮、然谷に加えて右腸脱経合穴委陽に衛気の手法。左肩首のはりがあるとの
ことで右側臥位にてナソ治療。
.2/18 (第4診〉
前回後ほぼ二日間動俸が出なかったとのこと。大変喜んで報告あり。その後、
動俸がまた復活しているものの頻度は以前ほどではない、とのこと。今回も前回
同様の治療。
.2/21 (第5診〉
動惇が少なくなっている0
・2/28 (第6診〉
先日苦手の車の運転をしたあとから、不安感が出てきた。動俸は順調に少なく
なっている。不安感によく対処できる補腎を優先して然谷、労宮の順番にする0
・3/8 (第7診〉
前回後不安感が消えてスッキリしたとのこと。同様の治療0
・3/15 (第8診〉
経過良好。
(考察)
この患者は非常にはっきりした急性のパニック障害でした。なんでも親に長年の心
臓病の持病があり、1月に胸痛がした際に「自分も親のように心臓病なのではない
か。あのように長く苦しむ様になるのではないか」と恐れているうちに発症したそ
うです。
第1診では腎虚証としました。症状が激しい割りに、脈証、腹証に実の様子が感じ
られず、池田先生の本にあるような腎の補いのみで緩解していくケースではないかと
考えました。
治療後安心感が出て落ち着いたのは腎の引き締める力が回復し、丹田の気が回復し始めた兆候かと思います。しかし、それだけでは症状の改善が十分でなかったので積
極的に心の治療をするべきと考えて、第2診では心虚陽虚証で治療しました。心血が
回り始めて神明が明るくなり、睡眠が安定し始めました。それでも動俸の改善がない
との訴えで、第3診では火経の剛柔である腸脱経の治療を加えました。腸脱経は心包
と腎の聞の陽気の循環を支える主要なノレートです。陰経の治療のみで心腎の陽気が充
分に回復しない時はこのように陽経を用います。