心の治療の実際・11「パニック障害治験」

中医学では肝腎不足。肝牌不和、肝胆湿熱、心腎不交、心牌両虚、心胆気虚といっ
た弁証が見られます。パニック障害は大変複雑な病気で、このなかから患者の病症に
合わせてその時々で効果的な証を探りながら治療する、ということ。
池田先生流に言えば人には腎の「引き締める力」というものがあってこれが人の精
神を丹田に収めて安心感の源になっています。驚きや恐怖と言った腎に作用する感情

が急激に起きた場合、一時的に腎の引き締める力の制約が放たれてしまいます。そう
すると普段は上がってこない熱が一気に上がってきて喉元をっき動停、胸苦しさ、胸
痛を起こすと言う病理です。
池田先生も『古典の学び方』の中で書かれているように、基本的には腎虚証であり
まず腎を補い、その引き締める力を促すべきですが、動倖や胸苦しさ急な発汗等の病
証からみて心の治療をするべき局面があると考えています。
【症例4】
患者:30 代女性
主訴:パニック障害
(望診)
色白で血色薄く、やや太り気味。
(問診)
1月はじめに胸部の痛みが起き、「もしかして悪い病気ではないか」との疑念から
不安感が強くなってきた。胸の痛みは小康を得たにもかかわらず動惇、深い緊張、発
作的な息苦しさが発症した。さらに眠りが浅くなり、途中覚醒が頻繁であり熟睡感が
ない。
もともと心配性な所はあったと思うが、このようにそれが何日も続き、息苦しさま
で出てくるのは全く初めての体験とのこと。動俸は以前からも時々はあったが今ほど
頻繁であったことはない。(一日何十回もドンと来る感じ。全く次元の違う激しい動悸)
病院では不安障害、パニック障害などと診断されデ、パスなどの安定剤を処方されて
いる。しかし服用によって胃院部の痛みなどの胃腸障害も発症し、いまは頓服的な使
用に備えて携帯している程度である。
(脈証)
やや浮、遅数は平、脈幅は小さく、左手尺中虚。
(腹証)
腹は冷たく、白く、津液の停滞多くぶょっとしている下腹腎の見所は虚。
(治療)
腎虚証と見て右腎経復溜に衛気の手法。さらに左足三里に衛気の手法。治療後、脈
が中位に落ち着きやや脈幅も増したようだった。(病症から言えば心実かとも思いま
したが脈幅が小さく荒々しい感じでもなく、虚脈に感じました。腹証も顕著な熱感は
なく、むしろ冷たい感じがしましたので、心実とまでは言えない、腎虚にて治まる弱
いパニックかと思いました。池田先生の本では奔豚気の治療は腎経復溜が良し、との
記述があり影響されています。)
背中への知熱灸と失眠穴へ5壮ずつ施灸。

2016年3月12日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : izumido