六気の治療要約.3

4,腹部募穴の瀉法。

腹部募穴を用いて外邪の瀉法を行います。例外的に積の治療の時に章門穴を八会穴の蔵会として補法として使います。

 

5,背部兪穴の補法。

積になった経絡の背部兪穴を選穴し補います。五行穴から邪気を寫し、背部兪穴から補うのは包徳会治療の基本です。

中でも肺輸穴は「気を流す重要な経穴」としてすべての患者に施します。時間も長く1~2分行います。八木先生が重視してこのように行っていたとのことです。

 

 

補足

・古典の中でも季節の分類には四、五。六の分類があり、混在しています。しかし清代の「温熱逢源」の主張にもあるように「三陰三陽の六分類」こそが寒熱の弁証と治療にもっとも適切であるとの結論に達したそうです。

 

・旺している臓の井穴を使って時邪を抜く事に関しては「井穴は経絡全体に対する影響が大きい(だからよく効く)」また「寒湿暑燥という邪は、単独では人体に入りづらい。風と一緒になって始めて外邪となる。故に井穴を使うと言うことでしょう。」との事です。

 

・腎経にも瀉法が行われます。「腎に実無し」は腎の臓の働きには実はないかもしれないが、腎の経絡は他の経絡同様、様々な外邪によって滞りを起こしているではないか。という解釈です。瀉法によって腎の経絡も滞りが解消されて本来の働きを取り戻すはずです。

 

・包徳会の治療の基本には故八木素萌先生が抱いた昭和の経絡治療に対する批判的評価が色濃く反映されています。それは脈診に対する過大な評価、正当な理由無く補法を尊しとし瀉法を疎んじる傾向、そのために病理では陰陽の虚証を主に据え、実証をわずかにしか認めようとしない傾向・・等です。

 

・証の概念はありません。昭和期以前に鍼灸に証はなく、これもまた「経絡治療は急ごしらえの工事小屋」の結果である、との立場です。治療に際しては時期と症状に応じて自在に穴を運用するのが本来の鍼灸治療であるとの考えです。

 

・故八木素萌先生はそもそも漢方薬店を営んでいました。薬方の世界には効能のある薬物を足していけば自ずと効果的な方剤となる、という考え方があり、苞徳会の治療は薬方のこうした治療文化を色濃く継承しています。その結果五行穴に対しても必要と考えれば躊躇無く多くの穴を使用します。

 

・薬註難経の解説により難経四難の意味が氷解した話。「脉に一陰一陽、一陰二陽、一陰三陽有り、一陽一陰、一陽二陰、一陽三陰有りと、此の如き言は、寸口六脉倶に動すること有るや。」:難経四難  「一陰一陽・・脈来沈而滑也   一陰二陽・・脈来沈滑而長也

一陰三陽・・脈来浮滑而長 時一沈也   一陽一陰・・脈来浮而濇短也  一陽二陰・・脈来長而沈濇也   一陽三陰・・脈来沈濇而短時一浮也」:薬註難経

 

多くの註解書では不明であった難経四難の文章が薬註難経では明快に脈状のことであると解釈されている。故八木先生は六脈が「季節」と「経脈及び臓」に明白に配されさらに時気との関連も明らかであるとし、難経の時代に六気の治療が行われていた明白な証左であるとの結論に至ったそうです。

 

・導通治療・・導通は積の治療以外にも痛みの対処等にも広く使われています。

例:三叉神経痛・・患側商陽(大腸・井)~健側厲兌(胃経・井)

消化器病、便秘・・手三里~足三里

去痰・・璇璣or華蓋~豊隆