六気の治療要約.1

 

鈴木先生 六気の治療要約

 

総論:一年を六気にわけたうえで、各気における五臓の盛衰に応じた病症の理解にたって鍼灸治療を展開して行くものです。六気の治療の出典は難経七難、素問第七十一六元正紀大論篇等です。こうした諸編を読むと古来から六気の鍼灸治療が行われていたことが読み取れます。

 

出典例

「其の気、何月を以て各々王すること幾日ぞや。然るなり、冬至の後、甲子を得て少陽王す、復た甲子を得て陽明王す、復た甲子を得て太陽王す、復た甲子を得て太陰王す、復た甲子を得て少陰王す、復た甲子を得て厥陰王す、王すること各々六十日、六六三百六十日を以て一歳と為す、此れ三陽三陰の旺日の大要なり。」:難経七難

 

「初の気は、地気遷(ウツ)りて・・・ 二の気は、陽すなわち布(シ)き・・・三の気は・・涼すなわち行り、・・・ 四の気は、寒雨降り、痛めば暴(ニワカ)に仆(タオ)れ・・五の気は、春令反(カエ)って行り、草すなわち生栄し、 ・・・終の気は・・・」

:素問第七十一

 

「診病の始め、五決を紀となす。其の始めを知らんと欲すれば、先ず其の母を建つ。いわゆる五決なる者は、五脈なり。・・・「建」とは、建立する、あるいは確立するという意味。「母」とは、そのときに対応する旺気のことをいう。「先ず其の母を建つ」とは、先ず確実にそのときに対応する旺気を知って、その後に邪正の気を求めてゆくことを意味する。(林億註)」:素問五臓生成論第十

 

「初之気 大寒より立春・・太敦を刺す   二之気 春分より小満・・少衝を刺す

三之気 小満より大暑・・        四之気 大暑より秋分・・少商を刺す

五の気 秋分より小雪・・少商を刺す   終之気 小雪より大寒・・湧泉を刺す」

:儒門事親巻之10

 

旺している臓の井穴を瀉す。:儒門事親

本来は陽経から邪を瀉すという原則に従って各陰臓の陽経を使っていましたが、八木先生が「儒門事親巻の10」の六気の治療に関する記述に気づいて以来、陰経の井穴を用いているそうです。しかしそれがうまくいかない時は陽経の井穴を用いる場合もあります。

その判断としては「臓病であるか腑病であるか」という病症判断も用いることがあります。

 

2.表す病症に応じて旺相死囚休いずれかの治療をします。

陽経には当気に応じ(初之気であれば井穴)陰経はその子の穴を取ります。(初之気であれば栄穴)を基本にしますが、病症に応じて柔軟に取穴を変えていく事もあります。

死を取ることは比較的少ないようです。(すべて瀉法)

休の位置・標準穴

初之気(木邪) 至陰(膀胱井穴) 然谷(腎経栄穴)
二之気(火邪) 侠渓(胆経栄穴) 太衝(肝経兪穴)
三之気(火邪) 侠渓(胆経栄穴) 太衝(肝経兪穴)
四之気(土邪) 後溪(小腸兪穴) 霊道(心経経穴)
五之気(金邪) 解渓(胃経経穴) 陰陵泉(脾経合穴)
終之気(水邪) 曲池(大腸合穴) 少商(肺経井穴)

・病症に応じる配穴:「六十八難の五輸穴の主治症」を各臓が変動した時の代表的な病症であると拡大解釈し、柔軟に応用します。つまり肝の病症であれば井穴、心の病症であれば栄穴、脾の病症は兪穴、肺の病証は経穴、腎の病症は合穴・・といった具合です。

(追加:さらに言えばどの経絡の井穴を使っても肝胆大腸経に影響を及ぼすとの考えです。以下栄穴は心小腸膀胱、兪穴は脾胃胆経、経穴は肺大腸小腸、合穴は腎膀胱胃経に、という具合です。これらを総合勘案して選穴すれば、より少ない配穴でより高い効果が得られると考えているとのことです。)

こうした配穴は以下の積の治療においても同様です。六気の理論に応じた標準穴と病症に応じた五輸穴の使い分け、これが鈴木先生の配穴の二本柱です。